はじめに
サイゼリヤ(7581)は10月14日、2026年8月期の決算と同時に、10月29日から平均6%の値上げを行うと発表しました。ミラノ風ドリアは300円から320円になります。翌15日の株価は前日終値6,550円から一時7,470円と、約14%上昇しました。ところが決算そのものは、会社計画に届いていません。投資家は何を評価したのでしょう?
決算の結果は増収だが、利益は計画未達
売上高は3,015億円(前期比17.4%増)で、計画の2,970億円を上回りました。一方、営業利益は164億円(同5.9%増)で、計画の182億円を約10%下回り、純利益は110億円(同1.1%減)と減益でした。原価率(売上に占める食材費などの割合)は41.9%から43.7%に悪化しています。販管費率は52.0%から50.9%に改善しましたが、食材費の上昇を吸収しきれなかった形です。
セグメント別では、国内の営業利益が60億円(同19.4%増)と伸びたものの、利益率は約3%にとどまります。アジアは売上高が17.1%増となったものの、営業利益は4.2%減でした。6~8月の3カ月だけで見ると営業利益は約31億円、利益率は3.9%で、前年同期の7.2%から大きく低下しています。
一方、お客さんの数は絶好調です。国内既存店売上高は、昨年10月から今年9月まで12カ月連続で前年を9%以上上回りました。客単価は1~3%の伸びにとどまり、客数が主役です。
値上げの中身と、その意味
値上げは約6年ぶりです。メニュー全般で平均6%、400円の商品は420~430円になります。レジャー施設周辺や都市部の24店舗は平均10%の値上げで、ランチ、モーニング、フレッシュワインは据え置きです。会社は原材料とエネルギーのコスト上昇を理由に挙げ、「当社の努力不足で吸収しきれなかった」と説明しています。決算短信でも、メニュー価格を維持する方針から、状況に応じて改定する方針へ変わりました。
決算説明資料からは、原価面で為替の影響が約32億円、仕入れ単価の悪化が約19億円の逆風だったことが読み取れます。効率化だけで耐えるのは限界だった、というわけです。
2027年8月期の計画は、売上高3,337億円(10.7%増)、営業利益212億円(29.1%増)で、国内の営業利益は60億円から100億円に増える見通しです。ただ、計画上の粗利益率は56.5%と、前期の約56.3%とほぼ同じです。値上げは主にコスト増の相殺に使い、増益の源泉は販管費率の改善とみられます。上期の営業利益は86億円(0.6%減)で、増益は下期に偏っています。