はじめに
・本業の検索広告やネット通販の伸びが落ち着く中、膨大なAI設備投資を重ねたことでアルファベットやアマゾンが手元の現金赤字(フリーキャッシュフロー赤字)に陥った。
・クラウド事業の高成長に加え、OSなどで年間186億ドルの現金黒字を出しているマイクロソフトが安定した強さを見せた。
・寿司ロボット大手の鈴茂器工は、海外売上比率36.8%・年21%成長と、海外での和食人気や値上げ浸透を背景に業績を伸ばしている。
日米の中央銀行がそろって金利の据え置きを決め、アメリカの主要ハイテク企業の決算発表が相次ぐ中、株式市場では銘柄によって株価が大きく上下する展開が続いています。マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」で配信中の「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、大川智宏氏とDJ Nobby氏が、相場を動かす最新ニュースの背景を対話形式で分かりやすく紐解いています。
今回は、アルファベットやアマゾン、マイクロソフトの決算から見えたAI投資の裏側、インテル急落に見るパソコン市場の伸び悩み、注目の寿司ロボット大手「鈴茂器工」の強みまで、投資に役立つ視点をお届けします。
アマゾンとアルファベットが急落。DJ Nobby氏が迫る「巨額投資」の不透明感
アメリカの巨大IT企業の決算発表が相次ぎ、アルファベット(Google)やアマゾンの株が売られる厳しい展開となりました。DJ Nobby氏は「本業の伸び悩みと巨額の設備投資負担が、株式市場の不安を強めているのではないか」と問いかけます。
これに対し大川氏は、表向きの利益減少以上に「手元に残る現金(フリーキャッシュフロー)の急速な悪化」が投資家にショックを与えたと説明します。アルファベットは本業である検索広告の伸びが鈍くなり、AIと広告の相性への心配が広がる中で、手元現金の赤字幅が90億7000万ドル(約1兆3000億円)へ膨らみました。
さらにアマゾンは、クラウド事業(AWS)が前年比約40%増と順調だったものの、本業の通販サイトの伸びが2%増にとどまりました。その一方で、AIに向けた設備投資の計画を当初の予想より200億ドル以上も増やして773億ドル(約11兆円)としたことで、手元現金は424億ドル(約6兆円)の大幅な赤字となりました。本業の通販で稼いだ現金だけではAI投資を賄いきれず、資金繰りへの不安が広がったことが株価下落の大きな理由だと大川氏は分析します。
マイクロソフトは黒字を維持。大川氏が解き明かす「優等生」の財務構造
一方で、ハイテク株が揺れる中でもしっかりした値動きを見せたのがマイクロソフトです。クラウド部門(アジュール)の売上高が前年比48%増と高い伸びを保ったことについて、DJ Nobby氏は「同じ巨大IT企業でありながら何が他社と違うのか」と尋ねます。
大川氏は、同社がWindowsやオフィスソフトなどの本業で、年間186億ドル(約2.8兆円)という膨大な現金を安定して稼ぎ出している点を指摘します。データセンターへのAI投資を大きく増やしながらも、本業で稼ぐ力があるため手元現金の黒字をしっかり保てています。倒産リスクなどを示す信用指標(CDSスプレッド)も業界最低の水準に抑えられており、借金に頼りすぎず自前の稼ぐ力で投資を賄うバランスの良さが、投資家の安心感につながっているという見解を示しました。
インテル急落とパソコン低迷。大川氏が指摘する「ハイテク投資が生む歪み」
半導体大手インテルが業績予想を引き下げて株価が大きく下がったニュースについて、大川氏は巨大IT企業によるAI投資がパソコン市場全体へ及ぼしている歪みを説明します。
IT企業が最新の半導体やメモリを大量に確保したことでメモリ価格が跳ね上がり、それが個人向けパソコンの値段を押し上げて購入をためらわせる原因となっています。インテルのトップも2027年前半までパソコン市場の低迷が続く見通しを示しており、AI投資の過熱が身近なパソコン需要を押し下げるというチグハグな状況が生じています。ただ、大川氏はAIデータセンター全体の需要が消えたわけではなく、調整を挟みながら中長期での成長は続いていくという見方を示しました。
注目企業:寿司ロボット大手「鈴茂器工」の海外成長ストーリー
番組後半では、DJ Nobby氏が注目した寿司ロボット世界最大手「鈴茂器工(6405)」が取り上げられました。業績予想を上方に修正し、営業利益を10億円から14億5000万円へと前年比45%増に引き上げた同社について、DJ Nobby氏が成長の理由を尋ねます。
大川氏は、同社の海外売上比率が37%に達し、海外での売上が年21%という勢いで伸びている点を評価します。日本国内では少子高齢化やコスト上昇が課題となる一方、海外では物価高(インフレ)が定着しているため、商品の価値に見合った値上げが素直に受け入れられます。世界的な和食ブームに乗って寿司ロボットの導入が進む流れは、以前取り上げたスシローの海外進出や、アメリカで天ぷら粉の工場を増やした日進製粉グループと同じく、海外で稼ぐ息の長い成長モデルだと説明しました。
来週の見通し:主要統計と分散投資の姿勢
来週はアメリカの雇用統計や景気指標の発表、アップルなど注目企業の決算、さらにアメリカ中間選挙に向けた動きなど、株価を動かすイベントが控えています。
DJ Nobby氏と大川氏は、一時的なニュースや噂に振り回されることなく、企業の「実体的な稼ぐ力(ファンダメンタルズ)」を冷静に見極め、現物での分散投資を続けることが波乱相場に対処する姿勢だと締めくくりました。
より詳細な相場分析や、各銘柄に対する大川氏とDJ Nobby氏のリアルな掛け合いについては、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。