はじめに

大卒女性の夫の学歴の“今”

それでは、実際の結婚マーケットにおいて、大卒以上の女性はどのような学歴の男性を夫としているのでしょうか。大卒女性の結婚相手のリアルを国の統計から算出してみましょう。

上図は夫の学歴を細かく見たものです。パッと見て、「やはり同学歴以上が圧倒的じゃないか」と見えるかもしれません。

しかし、これを「妻の学歴より下の夫の割合」で再計算してみると、27.8%が妻の学歴(大卒)よりも下であることがわかります。つまり、約3割の大卒女性は自分よりも下の学歴の夫を選んでいる、といえるのです。妻の学歴が夫より上となるこの傾向は、さらに5年前の期間(2000~2004年)の状況と比べても着実に増加してきています。

また、高校進学率が100%近くとなっている今、女性の約半数を占める高卒女性はそもそも自分より学歴の低い男性を探すことが困難です。そう考えると、高卒同士のカップルの女性の中にも、自分より学歴が低い男性でも別に構わない、という女性は少なからず存在していると考えられます。

つまり単純に実数で見ただけベースでも、10組の成婚カップルがそこにいたとすると、平均して3組近くは妻が夫より高学歴、ということになります。40代以上の親世代が考えるほど、妻より夫の学歴が下のカップルは「あり得ないカップリングではない」ととらえることができるでしょう。

「大卒が半分=大卒未満はNG」なのか

おばあさん・お母さんの世代では大卒男性すら少数派で、確かに大卒は学歴エリートだったかもしれません。しかし、今の若者にとって、大卒の異性は男女とも半分を占めており、まったく珍しい存在ではありません。

では、「大卒って半分もいるのだから、大卒になれない異性なんてダメでしょう」ということになるのでしょうか。

高学歴は「学校における教育年数が長い」ことにほぼ一致します。本来、趣味で勉強するのでもない限り、学校教育の期間が長いのは、長い「ほぼ机上の」学校教育を必要とする職業に就くため、ということになります。

しかしながら、社会で必要とされる仕事すべてが、長い学校教育を必要とするものなのか、読者の皆さんによく考えてほしいと思います。

たとえば芸術的な仕事や、熟練した技術が必要となる仕事はどうでしょうか。OJT(仕事に就きながら技術を学ぶこと)期間の長さ、しかも頭脳が柔軟な若いうちほどOJTの習熟状況が良い、という仕事もあります。

ある九州出身の美容師の女性はこう言います。「1日も早く美容師になりたくて、私は中卒で美容師学校に入りたかった。でも、狙っていた美容師学校の資格要件が高卒で、高校3年間はただ高校に通学して待つしかなかったです。プロとなった今でも、もっと早く美容師の勉強を始めたかったと思っています」。

パートナーの学歴にこだわる、その前に

有名なフランスの画家ピエール=オーギュスト・ルノワールは家が貧しかったこともあり、13歳で陶磁器の絵付け職人として早々に社会人になりました。後に20歳になって、改めて勉強としての絵画を画塾で学びます。

しかし、学生ではなく絵付け職人としての社会的自立が、彼の大成の道のりの第一歩です。もし彼が裕福な家庭に生まれて10代前半を普通学校で過ごしていたなら、あの素晴らしい絵画たちは生まれなかったかもしれません。

アーティストばかりではありません。いまや東大・京大の学生からの入社応募も多いDMMの会長、亀山敬司さんも高卒(専門学校中退)です。

このように考えると、生涯のパートナーを見つけ出すには、異性の学歴へのこだわりや面倒な「親ブロック」突破よりも、パパ・ママ世代の学歴価値観に振り回されない「その異性の人柄や生きる姿勢を見抜く自分の目を持つ」ことが、(特にこれからの女性の)パートナーとの笑顔の明日には一番必要とされているのかもしれません。

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