はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。

50歳以上で経済的に心配がなければ早期退職を希望していますが、アパート収益はいずれ家賃がさがることも考えられます。また子供のうち一人(小学生)は医学部を希望しています。医学部私立だと多額の学費が想定されます(もし医学部に行くなら学費は祖母が出すと言ってくれており、私立の場合は生前贈与を受けるかも知れません)。
上の子は大学学費が今後500万位、留学する場合はもう少しかかるかも知れません。我が家の場合、問題なく早期退職が可能かどうか、どの程度の資産を目標にすれば早期退職に踏み切ってよいかなどアドバイスをお願いします。
持ち家のローンは完済済み。アパート三棟のうち一棟に8000万弱のアパートローンが月31万、残27年ありますが、50歳時であれば、退職金をあてにしなくても完済は可能です。現在、預貯金、株などはあわせて3000万位、年1000万ペースで資産は増えています。

〈相談者プロフィール〉
・女性、44歳、既婚、子供2人 ※主人とは死別、子供二人と三人家族
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・住んでいる地域:東京都
・月収:150万円 ※会社員としての月収が約50万円(ボーナス含む)、アパート収益が月約100万円で、アパートローンの支払いが月30万位あります
・月の支出目安:60万円


花輪: ご相談ありがとうございます。

私立医学部は年300万円、アメリカの有名大学は年500万円の学費がかかる?

文部科学省の調べによると、私立医歯系学部の年間授業料は2,764,631円で入学料は1,036,391円、施設設備費は863,538円と初年度納入金の総額は4,664,560円になります。私立の場合、6年間の学費の総額は2000万円程度からとなる覚悟をしましょう。

留学をする場合、アメリカの名門大学の費用は年間300万円前後することは一般的です。学生寮に入る場合も生活費に200万円程度はかかるでしょう。年間500万円程度の支出を想定しましょう。

早期退職の実現可能性

早期退職が可能かということですが、年1000万円ずつ資産が増えているので6年後にはあと6000万円の余裕資金があって、現在の資産3000万円から2000万円を使えば、アパートローンは完済され、資産1000万円が残りますね。あくまでも分かりやすい例えにするためですから、詳細は税理士さんなどにご相談されてください。

アパートローンを完済し退職をすると、収入は家賃収入の月100万円になります。ローン完済後の毎月の支出が30万円なら月70万円(年840万円)が余裕資金になります。ここから教育費を捻出できるか考えてみましょう。

私立医学部の場合、一人年300万円前後、アメリカの有名大学の場合、一人年500万円前後かかりますが、仮に大学進学時期がかぶったとしても何とか回せそうです。

親から贈与を受ける場合は受け取り方によっては贈与税がかかることもあるために税理士さんなどに相談をしながら、計画的に早期から基礎控除の範囲内(110万円以下)で検討をするとよいでしょう。

ご自分の老後資金に関しては賃料が下がったり、空室リスクはあるものの、アパート3棟も所有しているので家賃収入でやりくりができるかと思います。教育費を支払い終えたら余裕資金も増えるのでそれから準備をしても間に合うのではないでしょうか。

この記事の感想を教えてください。