はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。

いよいよ今年も確定申告シーズンを迎えてしまうのですが、今年は雑所得が20万円以上あり、少ない時間の合間に作業をしています。まだ還付になるのか、追加納税になるのかもわからない状態ですが、間に合わない気がしてきました。確定申告期限の3月15日に間に合わないとどうなるのでしょうか。
その場合、もう申告はできないのでしょうか。それとも罰金等のペナルティがあるのでしょうか。
当日のタイミングであれば、税務署に出しに行けばよいのですか?
(40代前半、男性、既婚、子ども1人)


野瀬: ご相談ありがとうございます。

確定申告の提出方法と提出期限

給与以外の「所得」が20万を超える場合、確定申告が必要です。「収入」ではなく「収入」から「経費」を引いたあとの「所得」である点は注意が必要です。確定申告の方法は、(1)書類を提出する、(2)電子申告という2つの方法があります。

今回は、(1)についてのみお話しします。(1)の場合は基本的に3月15日の税務署が空いている時間内、つまり午後5時までに行く必要があります。時間外であっても投函口があるのですが、確実を期するのであればやはり窓口が空いているうちに行くのがよいでしょう。

もし郵送にする場合なら「消印の日」が提出日になりますので、郵便局が空いている時間に提出すれば大丈夫ということになります。宅急便でも申告はできるのですがその場合は税務署への「到着日」となりますので注意が必要です。

これらに間に合わない場合は「申告漏れ」とされてしまいます。

提出期限に間に合わない場合、どうなる?

2つのペナルティが課せられます。一つ目が「無申告加算税」というもので、これは文字通り「確定申告をしなかった」ことに対してかかるペナルティです。そしてこのペナルティは、税額の15%~20%と非常に大きい負担になります。

次が「延滞税」というもので、これは納税が「遅延した」ことに対するペナルティです。こちらは税金金額に対して年率で14.6%(最初の2ヶ月までは4.3%)かかります。

両方合わせると相当な負担になることはなんとなく想像がつくと思うので、何とかこれを避けたり減らしたりしたいところです。

「申告が間に合わない」場合の対処法

では、相談者のように「間に合わない」という場合にどうするかですが、対処法は主に3つあります。

A. 本当に申告が必要かどうか再度確認する

先ほど説明しましたように確定申告が必要となる基準は「給与以外の所得が20万円超」です。「所得」であり「収入」ではないので、「集計し忘れた経費がないかどうか」もう一度確認してください。場合によっては申告自体をしなくてよくなる可能性があります。

B. とりあえず出してしまう

これは裏ワザなのですが、とりあえず所得をゼロとして出してしまうという方法です。一旦、「申告して」しまうので、2つのペナルティのうち「無申告加算税」はかかりません。

そして一旦、「申告」しておいてから、あとで「修正申告」することで確定申告を完了し、「延滞税」だけの支払いで済ませるという方法です。

C. 税務署で一緒に作る

領収書や源泉徴収票などの資料が一式そろっているのであれば、それを税務署に持っていき「確定申告書作成コーナー」で税務署職員と一緒に作ってしまうという奥の手です。

相談者の場合、雑所得だけであり、事業をされている方のように「収支内訳書」の提出の必要がないので、税務署に行ってから書類の作成をする…ということも現実的には可能です。もちろん税務署職員の方に負担をかけてしまうのですが、「キチンと期限通りに正しく申告したい」という理由なので、そこは快く手伝ってくれると思います。

とはいうものの、やはりきちんと準備して正しく申告するのが一番です。来年以降は青色申告も含めて今のうちから検討しておいた方がよいですね。事業所得に切り替えたいのであれば「開業届」を、そのうえで青色申告にしたいのであれば「青色申告申請書」を確定申告とともに提出することをお忘れなく。

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