はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。
戸建て住宅を購入し、5年になります。住宅ローンの残り約2,500万円と子供3人の教育費を考えると、頭がいっぱいになります。年80万円ほど貯金していますが、繰り上げ返済と教育費への蓄えなど、どのように行っていけばいいのかわかりません。アドバイスよろしくお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、29歳、既婚、子供3人(5歳・4歳・0歳)
・職業:パート・アルバイト
・居住形態:持ち家(戸建て)
・住んでいる地域:広島県
・手取りの世帯年収:400万円
・毎月の支出目安:30万円
・その他:子供は3人保育園に通っており、保育料は月に4.5万円
花輪: 文部科学省の「子どもの学習費調査」(平成24年度)によると、幼稚園(3歳)から高校3年生までの15年間をすべて公立に進学した場合は約500万円(学校外活動費も含む)かかることになります。
単純計算で子供1人なら年間33万円程度になります。相談者は3人なので、当面の間は年100万円程度かかると考えましょう。
住居費と教育費は家計の何パーセントまで?
手取り年収が400万円ということですが、住居費に年100万円、教育費に年100万円かかるなら、残りは年200万円になります。ここから将来への貯金もしていかなければいけません。
理想的には住居費は手取りの30%まで、教育費は15%程度に留めたいですが、相談者の場合は住居費を抑えているので、子供が多い分教育費を増やすのもやむを得ないでしょう。
教育費は児童手当を活用して賢く貯める
大学の入学、在学費用に関しては、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果(国の教育ローン利用勤務者世帯)」(平成25年度)によると、国公立大学の場合で合計約519万円、私立大学文系の場合で約691万円、私立大学理系の場合で約812万円が平均的にかかっていることが分かります。
教育費は高額になりますが、もらえるお金もあります。
児童手当を使わずに頑張って全部貯めると、子供1人当たり約200万円(3歳未満=月額1.5万円、3歳以上小学校修了前=第1子・第2子は月額1万円、第3子は月額1.5万円、中学校=月額1万円 ※所得制限あり)になります。
子供3人だと家計は大変ですが、第3子の児童手当の加算もあります。手当に加えて、子供1人当たり月1万円を貯めれば18年間で216万円貯まり、児童手当と合わせれば400万円以上になるので最低限の大学資金になりますね。
住宅ローンを支払いながら、子供3人だと月3万円の貯金はきついですが、子供の大学資金のためにぜひ貯めたい金額です。
現在は年80万円を貯めているということなので最低限はクリアできています。今後、子供の教育費の負担が大きくなってきても最低額は貯め続けていけると良いですね。
子供が独立したら、ラストスパートで老後資金を貯める
当面の間は教育費の支払いで四苦八苦しそうですが、幸い年齢が若いので第3子が独立した後に、繰上げ返済等で住居ローンを完済し、老後資金をラストスパートで作っていくこともできます。
第3子が独立時に52歳だとすると、60歳まで後8年あります。教育費の100万円がごっそり浮けば、その分を丸々貯金に回すことも可能です。できれば、継続雇用の仕組みを利用して65歳程度まで働き続けることができると理想的です。
第3子が独立をするまでは、とにかく教育費を作ることに専念しましょう。繰上げ返済は教育費を支払い終えてからでも遅くはないので、毎月の住宅ローンを支払うことと教育費を支払うことに注力をしましょう。その方が単純明快で迷いもありません。