はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。
生命保険についてアドバイスをお願いします。現在、積み立て保険に年50万円ほど支払っています。
内訳は主人の終身保険に14万円、医療保険に3.7万円、私の変額個人年金12万円、ガン保険2.7万円、子供2人の学資用として変額個人年金24万円です。医療保険とガン保険は掛け捨てです。これは多すぎるのでしょうか。一度見直しをしたものの、どれも必要な気がして削れません。
実は現在、会社が家賃を8割負担してくれているため、毎月2.5万円しか払っていませんが、主人の年齢も考え、そろそろ持ち家を考えています。保険料を削って、貯蓄に回した方が良いでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・女性、39歳、既婚、子供2人
・職業:パート・アルバイト
・居住形態:賃貸
・住んでいる地域:神奈川県
・手取り世帯月収:38万円(夫は手取り月収約30万円。額面で年収約650万円)
・毎月の支出目安:28万円
花輪: 総務省の家計調査(2016年)によると、1ヵ月の保険料の全国平均は約2万4,038円です(2人以上の世帯のうち勤労者世帯)。
平均と比べて保険料が多いことが分かります。まず、これ以上は増やす必要はないということを自覚しましょう。
今、すでに加入している保険に関しては目的ごとに分類をして整理しましょう。
目的別に保険を見直して、保険料を抑える
終身保険や変額個人年金などは貯蓄目的の保険、医療保険やガン保険は将来の医療に備えた保険になります。終身保険や変額個人年金など貯蓄目的の保険に関しては「銀行の貯金+掛け捨ての生命保険」に代替えすることも可能です。
後者のメリットとして、貯金は自由な形で好きな時に使うことができるということが挙げられます。また、掛け捨ての生命保険の場合、安価な値段で高額の保障を買うこともできます。そのため子供の年齢が小さい間は、掛け捨ても利用しながら高額の保障をかける家庭も多いです。
終身保険や変額個人年金などは、契約の期間や解約返戻金の状態によっては、保険の契約を変更できる場合もあります。たとえば保険料の払込みをストップし、解約返戻金を使って、保険期間が同じほかの保険に変更をする「払済保険」などに変更ができるケースもあるので、確認しても良いでしょう。
医療保険やガン保険は掛け捨てなので、健康状態に問題がないのであれば安価な商品に見直しをするのも手です。通販型や共済や勤務先で団体加入できる保険などが安いです。通販型の保険に関しては比較サイトで値段を比べることができるので、似たような保障であれば保険料が安い商品を選ぶのも手でしょう。
保険に加入するメリット「生命保険料控除」
保険に加入することで、生命保険料控除が受けることができるなど税金のメリットも大きいです。
生命保険料控除とは、払い込んだ生命保険料に応じて、保険料負担者のその年の所得から差し引かれる制度です。控除の限度額は平成24年1月1日以降に契約した生命保険の場合、「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」各4万円です。年間の支払保険料が8万円超だと控除額は一律4万円になります。
平成23年12月31日以前に契約をした場合は、「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」が各5万円になります。年間の支払保険料が10万円超だと控除額は一律5万円になります。年末調整や確定申告の際に、保険会社から届く生命保険料控除証明書を添付して申告をします。
変額個人年金保険の払込保険料は、基本的に払い込んだ年の「一般の生命保険料控除」の対象となって、「個人年金保険料控除」の対象にはなりません。
共働きの場合は、妻の保険契約については、妻自身が契約者となって保険料を支払って、自分で保険料控除を申告したほうが良い場合があります。
たとえば相談者の場合、夫は生命保険料控除を使いきってしまっています。妻の収入にもよりますが、妻が保険契約者となり、自分で保険料を支払って保険料控除の申請をすると、夫と同様に、所得税や住民税の保険料控除を受けることができます。
夫婦の働き方に合わせて、保険の契約方法も検討してみるのも1つの対策です。