はじめに
エキナカ需要増で競争激化
実際、JR東日本ウォータービジネスのまとめでは、エキナカ自販機での「小腹満たし系飲料」の売り上げは右肩上がりだといいます。2014年度からの2年間で13.6%増えており、今後も上昇傾向が見込まれます。
中でも利用比率の高いのがビジネスパーソンで、夕方から夜間にかけてニーズが高まる傾向にあるそうです(下図)。
JR東日本ウォータービジネスとしても、自販機の差別化を実現するために重要なカテゴリーと位置付け、小腹満たし系飲料の品ぞろえ拡充に注力。それに呼応して、飲料各社もスイーツ系飲料の投入に力を入れています。
昨年4月には、永谷園が「ビアードパパの飲むシュークリーム」(税抜き130円)を発売。同年11月には、JR東日本ウォータービジネスから「贅沢バニラミルク いちごミックス」が、ダイドードリンコから「ふって飲む甘美なショートケーキ」が売り出されています。
おじさんの働き方を変えられるか
このように過熱気味の新興市場で自社のスタンスを鮮明にしようと、ポッカサッポロは商品の打ち出し方にも工夫をこらします。「ワーク・スイーツ・バランス」の提案です。
これは、仕事と私生活との調和を謳った「ワーク・ライフ・バランス」をもじったもの。仕事の合間にスイーツをとることで業務効率の向上をサポートする、という概念です。
健康志向の高まりから無糖飲料や炭酸水の需要が伸びていますが、それらを飲んでいるだけだと仕事がストイックになりすぎる。たまには甘いものを摂取して、リフレッシュしてはどうですか、という打ち出し方です。
ちなみに、4月下旬までの1ヵ月間、ポッカサッポロの会社の受付で、15時前後の来客にサンプルを配布。ワーク・スイーツ・バランスの啓蒙活動を展開するそうです。
ジェリーツの当面の販売目標は20万ケース(1ケース=24本入り)。「嗜好ドリンクなので、びっくりするほどの売り上げは想定していません」(室さん)。
しかし、実際に小売店などと商談をすると、コーヒーゼリーだけでなく、抹茶も高評価を受けているそうです。「インバウンド需要も含めて、今は抹茶ブーム。うれしい誤算です」と室さんは頬を緩めます。
秋に向けて、ラインナップの強化も計画中。酸っぱいものも含めて、缶スープなど食との融合を目指していく方針だといいます。新製法による本格的な味わいは、日本のおじさんのワーク・スイーツ・バランスに変革をもたらすでしょうか。