はじめに

「誰もが100年生きる時代の到来」がささやかれ出し、新たな「働き方」を自らで模索する必要に迫られています。そのようななか、以前にも増して注目が集まっているのが「フリーランス」という生き方。

しかしフリーランスは「時間や場所にしばられず、自由に働ける」「自分のスキルを活かして、高い報酬をもらいながらバリバリ稼ぐ」など、自由な働き方に成功している人がいる一方、「不安定な収入に不安な毎日」「日々、忙しく働いているのに、収入が見合わない」など苦しんでいる人が多いのも事実です。

今回『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』(日本実業出版社)を出版した山田竜也さんもかつてはその一人。コネなしスキルなしで独立し、900万円以上の負債を抱え自己破産寸前になるなど、どん底を経験したと言います。

今では1000万円を超える収入を稼ぎ続けている山田さんに、「稼げるフリーランスになるための基本」についてお聞きしました。(文責:日本実業出版社)


「なんとなく」で、フリーランスになってしまった……

―フリーランスになったきっかけは?

大学を卒業後、大阪にある社員数10名以下のITシステム開発会社でエンジニアとして働いていました。上司や同僚に恵まれてはいたのですが、下請け中心の会社だったこともあり労働環境がハードで……。さらにエンジニアという仕事にあまり適性を感じることができず辞めどきを考えるようになりました。といってもフリーランスとして独立をする予定はありませんでした。

しかしそんなとき、知人の起業を手伝うことになり、その事業でトラブルが発生したことから、途中で抜け出せなくなってしまったんです。さらに仕事を辞めて東京に来てしまったため、結果としてフリーランスとして独立することになりました。

実際に他のフリーの人と話をしていると、会社員時代にスキルを積んで計画的に独立する「積極的な理由」でフリーランスになった人がいる一方で、病気で自宅療養しなくてはいけないとか上司とモメて退職したなど、何らかの事情があって僕のように「消極的な理由」でフリーランスになった人も多いように感じます。

―フリーランスのスタート時は、どのような生活でしたか?

なんとなくの独立だったので、当然、何も準備しておらず……(汗)。正直、フリーランスになってもWeb関連のアドバイスを知人の会社に少しする程度で、継続的な仕事がなく、生活費や営業経費で会社員時代にコツコツ貯めていた貯金が怒涛のように減っていきました。何から何までうまくいきません。

独立後、前職とは全く違う分野で仕事をしようとしたので、さらに苦労しますよね。まさに「コネ無し、スキルなし」でした。

お金がないことだけは避けたかったので、すぐに法人化し、900万円の借り入れを行ないました。そのお金のおかげで、仕事がない状態でもしばらく生活に困ることはなかったのですが、その一方で「借金の返済」という大きなプレッシャーと戦う地獄を見ることになりました。

―具体的にはどのような地獄だったのでしょうか?

思うように仕事が取れず、借金までしたのにさらに手元の資金はどんどんなくなっていく。そして生活費を稼ぐために、報酬の低い仕事や、条件が悪い仕事を引き受ける。まさに未来が見えず、私の心はどんどん病んでいき、ついにはうつ病で自宅療養しながら働くというギリギリの生活に……。

自宅療養中は、どんなに力を振り絞っても1日2時間程度しか働けないんですね。そのようななか、借金の返済で月20万円以上が銀行口座から自動で引き落とされる。貯金も底を着きかけていたので、1日2時間の労働で20万円+αを稼がないといけませんでした。これをクリアできないと即自己破産でした。

ただ、あるとき「自己破産しても、やれる範囲でやってみてダメならいいか」とあきらめ半分の境地で開き直ったら、それまで灰色だった世界(白黒の映画のように本当にそうなんです)にキラキラして色がついたんです。「世界が輝く」という体験が実際にあるんだと自分でも驚きましたね。皮肉なことですが、破産を受け入れたとき、逆に地獄から光のあふれる世界に引き戻されました。

このとき、以前からフリーとして関わっていたWebマーケティングを、本格的に仕事の軸にしようと決めました。

―フリーランスとして本格的に動きだしたのですね。

はい。そこで当時ブームになっていた「セカンドライフ(3DCGで構成されたインターネット上に存在する仮想世界)」の3Dバーチャルサービスの進出代行領域に飛び出したのですが、お客さんにとっては未知の世界で、プレゼンを延々と繰り返すなど営業コストがかかりすぎて大変な苦労をしました。その後ブームも消滅、さらに極貧に。

そこから起死回生したきっかけは、ある社長さんに、「山田さんだったらWebの広告(Google AdWords)の運用を極めたらきっといいと思うよ」と言われて、挑戦してみたことです。この広告運用のスキルを加えたことで、ようやく、私の提供できるものとお客さんのニーズが合致し順調に仕事につながりだしました。

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