物価が高い東京都に住んでいるからか、男性から時折ちょっと違和感のある声をうかがいます。いずれも結婚支援に対してポジティブな経営者レベルの男性なのですが、「うちの従業員の若い女の子に紹介するのに、やはり年収600万円はある男性じゃないと、さすがにかわいそうかな、ってね」。

なんと優しい経営者、と思わなくもありません。しかし前回の連載でお示ししたように、結婚支援の現場では600万円はおろか、400万円以上でも結婚支援の現場の方が紹介できる男性は数多くありません。しかもそれが20代、30代の男性ともなると、非常に難しいことも前回データで示しています。

ということは、この経営者に「具体的に紹介できる男性の心当たりがないのであれば」客観的なデータに基づいて考えるなら、かなり無責任な発言でしかない、ということになってしまいます。

確かに経営者の男性やアラフィフ男性にすれば、この「600万円以上の彼氏じゃないと」価値観は、優越感が持てる価値観です。彼らは所得において、それを達成できているからです。

そして、統計的に考えると「つまり、僕みたいな」相手が若い彼女たちには望ましいよね、でもほとんどの男性は彼女たちにとってかわいそうな年収だけれどね、と言っているに等しくなるのです。

このような「年収●万円以下の男性なんて女性がかわいそう」発言をする経営者の男性や、アラフィフ以上に見られる男性は、そのパートナーが専業主婦であったり、働いていても彼女の収入を「お小遣い」にできていたりするケースがほとんどです。

家計をリードしているのは、あくまでもその男性たちで、妻は所得的にサブな(もしくは機能しない)位置づけとなっています。

男性にとってこのような「経営者男性」は、もしかすると「素晴らしい」「理想の」「勝ち組の」男性像なのかもしれません。あえてそこまで頑張ろうとは思わないけれども、なれるならなってみたい男性の姿なのかもしれません。

では、この「理想像」は果たして今の若い未婚女性から見た場合でも、やはり理想像なのでしょうか。データで検証してみたいと思います。


専業主婦希望者は5人に1人

講演会で国の大規模調査データの最新結果を示して「若い女性の理想のライフコース」のお話をすると、40代半ばの団塊ジュニア以上の年齢の男性がかなり驚いているのがよくわかります。

まずは以下の結果を見て下さい。

この表の結果はあくまでも「理想の」ライフコースであって、「致し方なしの」ライフコースではないことに注意して下さい。

「専業主婦コース」は、結婚あるいは出産の機会に退職し、子供を持ち、その後は仕事を持たないことを理想とする若い女性です。最新の調査では18.2%であり、5人に1人未満の女性が専業主婦を理想としています。

この結果に「ええっ」となるアラフィフ以上の男性が多いのは仕方ありません。これと同様の調査が1992年にも行われていますが(厚生省人口問題研究所<現・国立社会保障・人口問題研究所>「独身青年層の結婚観と子供感」)、その時の18歳から34歳の未婚女性の回答結果では33%だったのです。

今から約30年前の1992年は、3人に1人の未婚女性が専業主婦を理想としていた時代です。ただ、わずかその5年後の1997年の調査では、この割合は21%にまで下落しており、今の5人に1人未満に非常に近くなっています。