はじめに

雑誌でもよく見る「お金を貯めている人」は、高収入とは限りません。意外と年収300万円台の人でも、しっかり貯めていたりします。中には、1年間で100万円以上を貯蓄するツワモノも。

貯蓄が出来る人は、収入の多い少ないに関わらず貯められる人です。でも、いったいどうすれば、年収300万円で100万円の貯蓄が作れるのでしょうか。

今回は、貯蓄を成功させた達人もやった、無理せず長続きする方法を紹介します。


「先取り貯金」は貯蓄の王道、貯蓄額は目標から逆算

毎月のお給料から生活費を使うと、余るお金はたいてい残っていないものです。そのため、貯蓄までなかなか手が回らない、と思う人も多いのではないでしょうか。来月はもっと節約しなくては、と反省しても、やっぱり月末には余らないことが多いでしょう。

貯蓄は、余ったお金でしようと思ってもうまくいきません。手元にあるお金は、つい使ってしまうものだからです。

そこで、貯蓄を成功させるにためは「先取り貯金」がオススメ。これは、収入があったら、すぐに必要な貯金額を差引いてしまって、生活費を残りのお金でやりくりする方法です。

× 収入-生活費=貯蓄(0になることも)
○ 収入-貯蓄=生活費(生活費は貯蓄を引いた残りでやりくり)

貯蓄額は目標金額から逆算をします。1年間で100万円貯めようと思ったら、12ヶ月で割ると1ヶ月あたり8万3333円。そこで、先取り貯金は8万3000円として考えてみましょう。

年収300万円だと、ボーナスを考えなければ、月の手取りは約20万円ほどです。手取り20万円から8万3000円を貯蓄分として差引いて、11万7000円で生活すれば、目標金額は達成です。

この時、貯蓄分は、生活費を管理する口座とは、別口座に預けておくことがポイント。生活費と同じ普通預金口座に預けていては、いつの間にか使ってしまいます。また、生活費の口座と同じ銀行だと、貯蓄分を定期預金にしていても、普通預金と連動して使ってしまうこともありますので、金融機関も分けておくとよいでしょう。

月11万7000円で生活できるのか?

さっくりと生活費を振り分けてみました。自分の生活スタイルにあわせて、多い所と少ない所で調整しましょう。

項目金額
住宅費1万円
水道・光熱費6000円
食費4万8000円
生活用品費3000円
被服・美容費8000円
通信費(携帯代)6000円
交通費6000円
保険・医療費6000円
教養・レジャー費1万4000円
その他1万円
合計11万7000円

●住宅費
節約スタイルの生活費で考えてみましたが、それでも月11万7000円の予算であれば、家賃まで払うのは厳しい状態。なんとか頑張って1万円。水道光熱費と合計して、実家暮らしなら家に入れる金額程度です。

年収300万円で年100万円の貯蓄を実現させるためには、家賃がかからないことが条件となりそうです。

実家暮らしをする以外には、住宅手当のある会社に勤める、友人とルームシェアをするなどの対策が考えられます。その他にも、最近はシェアハウスに住む人も増えています。3LDKや4LDKのマンションや、一軒家などに数人で住み、家賃を住人全員で割ることができます。家賃だけではなく、火災保険料、プロバイダ料金、NHK受信料、新聞代等も分けられるのは大きなメリットです。

一人で気ままに暮らすのとは違い、みんなでルールを守る必要がありますが、ひとつの方法として考えてみてもよいかもしれません。

●水道・光熱費
節約のため、水道や電気を使うたびに気を付けるのではストレスがたまります。バスルームには節水タイプのシャワーヘッドを使ったり、節電タイプの家電を使ったりすると無理なく節約できます。冷蔵庫やエアコンなど、新しいものに買い替えたほうが電気代を安くできる場合もあるので、まずは調べてみるといいですね。環境省のウェブサイト「しんきゅうさん」では、家電の型番から消費電力を確認できます。

●食費
食費は、安く抑えることだけではなく、栄養のバランスをしっかりとることが大切です。そのためには、自炊が基本。自炊と言っても、難しいことではありません。ご飯を炊くだけでも、すべて外食や買ってくるよりずっと安上がりでヘルシー。

バランスのとれた食事は身体を健康に保ちます。風邪などの病気を防いで、お肌のコンディションもよくなるので、食費だけでなく薬代や化粧品代の節約にもつながります。

実家暮らしの場合は家族分まとめて作ることで一人あたりの食費を抑えることもできますので、相談しながら調整しましょう。

●被服・美容費
洋服を買うときはインターネットを利用。フリマアプリはもちろん、アウトレット商品も格安で販売しています。ヘアサロンはカットモデルやクーポンを利用するとおトクに利用できます。また、化粧品はサンプルイベントに参加したり、モニターに応募したりするのもオススメです。

●通信費(携帯代)
携帯代を含む通信費は、つい高くなりがちです。契約プランを見直したり、格安スマホに切り替えたりして安く抑える工夫をしましょう。通話や動画をあまり使わないプランだと2000円くらいに抑えることもできます。

無料WiFiに自動的につなげるアプリなどで工夫して、通信費を節約という手も。動画や音楽を楽しみたい人は使いすぎに気をつけましょう。

●保険・医療費
独身でムダな保険に入りすぎるのは注意したいですが、医療保険とがん保険に加入して備えていると安心も。しかし、病気は予防が一番。健康的な生活を心がけましょう。

●教養・レジャー費
無料スポットを利用して、お金をかけずに楽しみましょう。公園や動物園、図書館だけでなく、インターネットで無料スポットや工場見学を探せるサイトもあります。

プラスアルファの工夫で、貯蓄スピードをアップ

今よりも貯蓄にまわすお金を増やす方法は、たった2つしかありません。それは、支出を減らすことと、収入を増やすことです。
支出を減らす方法は、たくさんの節約アイデアがウェブサイトや雑誌でも紹介されているでしょう。しかし、これからはそれだけでは不十分。ぜひ、収入を増やすことも考えていきましょう。

代表的な方法としては、副業をすることです。本業に差し支えないことが前提ですが、仕事のスキルや趣味を生かして稼ぐことができると、貯蓄にも弾みがつきます。

また、積極的に資産運用をすることもいいでしょう。リスク許容度にあわせた運用であれば安心です。低金利の今は、定期預金に預けていてもほとんど増えません。資産運用でお金に働いてもらうという発想が、貯蓄をスピードアップさせるでしょう。

たとえば、「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」は、老後のための資金づくりをしながら節税ができる制度です。掛け金が全額所得控除になるので、月1万円をかけたとして年12万円が課税所得から差し引かれます。所得税の税率が5%なら6000円、住民税は一律10%なのでさらに1万2000円、合計1万8000円も税金が安くなります。

また、2018年から始まった「つみたてNISA」を利用してもいいでしょう。年間40万円までの資金なら、収益が非課税になる制度です。手数料の安い投資信託がいくつもラインナップされています。

春は新しい生活が始まる季節。将来に向けた貯蓄の新習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

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