はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
今後、家を建てる予定で、子供も作ろうと思っています。ただ夫が自営業なので収入が安定しません。お金を貯めたいのですが、やりくりの仕方がよく分からず、毎月預金することも、家計を管理することもできていません。どのようなやり方をすれば、簡単にお金の管理をすることができるのか教えていただきたいです。
〈相談者プロフィール〉
・女性、36歳、既婚、子供なし
・職業:パート・アルバイト
・居住形態:賃貸
・住んでいる地域:福井県
・手取りの世帯月収:30万円
・毎月の支出目安:30万円
花輪: 貯金も家計管理もできないということですが、節約や貯金をするには現状の把握から。節約もダイエットと同じで、現在のサイズを測らないと、理想のサイズを目指すことも難しいからです。
まずは平均データと自分の家計を比べて
何もしていないという人は、まずはレシートをもらうことから始めてみましょう。レシートは、いつ、いくら、どこで、何を、どれだけ買ったなどが載っている貴重な情報源だから捨てるのはもったいないのです。
光熱水道費などは月の明細を見れば金額をすぐに調べられますが、食費などの変動費に関しては測定をする必要があります。
1週間の食費を計測できれば、4倍にして1ヶ月の食費を概算することもできます。レシートを撮影して家計簿アプリに取り込んだり、電子マネーやカードで買い物をして記録を残してマネーフォワードで集計をするというのも1つです。
記録ができたら、近隣に住んでいる同程度の家計と自分の家計のデータを比較してみましょう。
「家計調査(2017)」によると、北陸地域で2人以上の勤労者世帯のうち、世帯主(男性)の平均収入が37万6,548円の家庭の1ヶ月の支出は次の通りです。
【世帯人数】3.51人
【消費支出】31万4,199円
【食料】7万7,524円
【住居】1万3,630円
【光熱・水道】2万4,150円
【家具・家事用品】1万4,445円
【被服及び履物】1万1,387円
【保健医療】1万106円
【交通・通信】5万2,791円
【教育】1万3,565円
【教養娯楽】2万9,633円
【その他の消費支出(諸雑費、使途不明、交際費、仕送り金)】7万969円
【非消費支出(税金、社会保険料)】10万1,916円
相談者の場合、手取りの世帯月収30万円に対して毎月の支出目安が30万円と、入っただけ使う形になってしまっています。これでは貯金ができないので、平均と比べて高い支出を削っていく必要があります。
たとえば、食費が平均よりも高いならば、2回目からの記録は食費だけに絞って食費を細かく記録していくのも手です。買い物の頻度を変えるなど、食費の節約だけを実践するのも有効ですね。
記録するだけでも、どの部分がメタボなのか自覚することができます。それだけでも節約意識が働くので、一歩進んだことになります。
目標を分解して具体的な行動に移す
目の前の誘惑に打ち勝って貯金を作るには、強い目標を持つことが大切です。「いつかは家を建てたい」「子供を作りたい」という目標を具体的に、いつ、いくらと考えていくと実現しやすいです。
たとえば、「5年後にマイホームを持ちたいから、自己資金に200万円を貯める」などです。金額と期限を設定して、その目標を小さく分解していきましょう。
5年後に200万円を貯めるには、1年で40万円、1ヶ月にすると3万3,000円程度の貯金が必要になるのが分かります。目標を小さくしていくと、具体的な行動に移せるようになります。
マイホームを手にした姿を想像すれば、現在の支出の中から必要金額を捻出していくのがより容易になるのではないでしょうか。目標もなく貯められるという人は、実は少数派だからです。
支出を減らすのと同時に収入を増やす努力も必要
ご主人が自営業ということですが、自営業の場合、より貯金など蓄えが必要になってきます。マイホームを購入する際にも、フラット35を利用するのも一つですが、一般に多くの自己資金が必要になる可能性があります。危機意識を持つということも貯金を促すには有効です。
また、パートナーが自営業の場合は社会保険の扶養などもないために、ご自身の収入を増やしていく努力も必要です。支出を減らす工夫に加えて、収入を増やす努力も同時にしていきましょう。