はじめに
1995年に誕生し、今やミニストップの代名詞にまで成長した、夏季限定スイーツ「ハロハロ」。今年も新商品が4月20日から順次発売されます。
第1弾では、4年ぶりに復活した宇治抹茶フレーバーの「宇治抹茶あずき」が登場。第2弾としては、昨年大ヒットを記録した「果実氷いちご」が改良を重ねた新バージョンで発売されます。
例年以上にアツいラインナップとなっている、今年のハロハロ。その背後に潜む、ミニストップの戦略を掘り下げてみます。
4年ぶりに帰ってきた宇治抹茶
「今週金曜日からハロハロを3品、発売します。その中でも一番の売りは、4年ぶりにブラッシュアップして再投入する宇治抹茶あずきです」。ミニストップ・インストア商品開発部の三塚文陽さんは、こう言って力を込めました。
宇治抹茶フレーバーのハロハロは、2003年に初の和テイスト商品として「宇治金時」が登場。比較的高めの年代の女性客を中心に人気を博してきました。ただ、2015年から昨年までの3年間は、「黒蜜きなこ」など別の和テイストを販売してきました。
そうした中で、店頭では「宇治金時はないのか」という顧客からのリクエストが年々増加していったといいます。そこで満を持して、従来の宇治金時をブラッシュアップし、4年ぶりの宇治抹茶フレーバーとして宇治抹茶あずきを投入することになりました。
シロップには、従来よりもグレードの高い抹茶を使用。色が鮮やかになっただけでなく、うまみや甘みが感じられるシロップを開発しました。また、上の乗せる団子にも宇治抹茶を練り込み、抹茶の味がしっかりと感じられる工夫を施したそうです。
サクサク感が増した果実氷いちご
一方、第2弾として5月3日から販売する果実氷いちごは、昨年7月に投入した新商品に大幅な改良を加えたもの。最大の特徴は、氷の代わりに凍らせたいちごを使用し、氷が苦手だけれど氷系のスイーツが食べたいという需要に対応している点です。
さまざまな改良を施した「ハロハロ 果実氷いちご」(税込み320円)
昨年は280万食分の在庫を用意していましたが、あまりの人気に1ヵ月で完売してしまいました。「昨年ご迷惑をおかけした分だけ、今年は作り込みました。夏の終わりまでしっかり売れるだけの在庫をご用意しました」(三塚さん)。
特に作り込んだのが、店舗での作業工程の見直しです。昨年は、冷凍したいちごをそのまま使うと厚みがありすぎておいしく食べられないという配慮から、店内厨房でいちごを“緩ませる”工程を入れていました。
しかし今年は、従来3~4ミリメートル前後だったいちごのスライス厚を1ミリ前後薄くすることで、緩ませる工程を省きました。これによって、サクサクした食感が増すとともに、時間が経ってもベチャベチャした感じが残らないようになったといいます。
工程改善で提供時間が大幅短縮
さらに、シロップにも改良を加えました。昨年はシロップのほかにも練乳をかけていましたが、今年は「シロップの中に練乳のいいところを入れ、半年かけて粘度と味を改良した」(三塚さん)そうです。これによって、いちご全体にシロップが万遍なくかかり、最後まで味のバラつきがなくなったといいます。
これら一連の工程の見直しによって、商品の提供時間は従来よりも15~20秒ほど短縮し、30~35秒程度になったそうです。
「夏場のミニストップは、ハロハロ待ちでレジの前にお客様が並んでいるイメージをされる方が多いですが、オペレーションの改良によって、通常のハロハロの3分の1の時間で提供可能になりました。ストレスを除いて、おいしく早く食べていただけるよう、配慮しました」(三塚さん)
7月には、果実氷の第2弾として「果実氷温州みかん」を投入します。いちごと併売することで、昨年の反省を生かし、8月いっぱいまで販売を続けたい意向です。