はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

夫と、あと少しで教育費が終わる子供2人と、義母で暮らしています。現在、資産が2,400万円ほどあります。内訳としては1,800万円が証券会社の投資、その他600万円が定期になっています。日経平均が7,000円台の時に4割近く目減りした時代もありましたが、最近は戻ってきました。その経験からか、老後資金として考えているため、少々投資に充てる資金が多過ぎるかな思っている次第です。プロの目から見てアドバイスいただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。


〈相談者プロフィール〉
・女性、52歳、既婚(夫:52歳・会社員)、子供2人
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:50万円
・毎月の支出目安:50万円


花輪: ご相談ありがとうございます。

「100-自分の年齢」の法則とは?

株式の割合が高すぎるかもしれないということですが、投資の世界では「100から自分の年齢を引いた数字を株式の割合(パーセント)にする」のが目安とよく言われています。

相談者は52歳なので、「100-自分の年齢」の法則に当てはめると、48%を株式の割合にするのが目安ということが分かります。

現在の株式の割合が75%になっているので、このうちから650万円程度分を売却して、個人向け国債や預貯金に移すのも手でしょう。年齢の経過とともに、債券や預貯金の割合を高めて全体のリスクを低減させましょう。

普通の国債にはない「個人向け国債」の強み

個人向け国債とは、国が発行する個人限定の商品で、国が元本を保証しているために一企業の債券と比べると安心感があります。

個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」と3種類がありますが、インフレに強いのは変動金利型の10年物の個人向け国債です。変動金利型の場合、金利は半年ごとに見直されます。金利は「基準金利×0.66」で決まりますが、最低金利保障として0.05%が設定されています。

直近でアメリカの金利が2〜3回上がることが予測されていますから、固定金利よりも変動金利の債券を保有する方が良いでしょう。

個人向け国債が非常に有利なところは、発行から1年経過すれば、国が額面金額で買い取ってくれるということです(直前2回分の利子相当額が差し引かれます)。

つまり、途中で解約をしても、原則的に元本が割れないということです。これが、普通の国債(利付国債)や事業債にはない強みです。

通常の債券の場合だと、市場金利が上がれば、相対的に低い金利の債券を保有していると価格が下がってしまいます。そのため、途中売却をすると元本を割れる場合があるのです。

個人向け国債は毎月発行されます。金利上昇時にも安心して持てるのは、1年など期間の短い定期預金や変動10年の個人向け国債などです。

50代に入ったらラストスパートで老後資金を貯める

子供の学費の支払いがひと段落ついたら、50代は老後資金をラストスパートで貯める絶好の機会です。

現在、支出と収入がトントンですが、学費の支払いが終わったら、浮いたお金を老後の備えに回したいですね。総額でいくら備えなければならないかは老後の収入源と支出によります。

まずは、「ねんきんダイヤル」に問い合わせをして、公的年金の見込み額を試算してもらいましょう。会社から退職金が出る場合は退職金の見込み額も調べておきましょう。

また、何歳までどのように働くのかという計画も大切です。

昭和36年4月2日以降の男性、昭和41年4月2日以降の女性の場合、老齢年金を受給できるのは65歳からになります。65歳まで働くことで老後の資金繰りを大きく改善させることができます。

たとえば収入が減って、年収300万円になったとしても、5年間で1,500万円になるからです。その分、老後に準備するお金を減らすことができます。

日本FP協会などのホームページから家計のキャッシュフロー表をダウンロードして、老後の資金繰りを見通しておくと安心です。協会ではFP無料相談も体験することができるので活用してみるのも手かもしれません。

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