はじめに

早出しても残業しても、たいして増えない収入。「毎月、もう少しだけ収入があったらいいのにな~」そう思っていませんか? 日本型雇用が崩れつつある今、政府も「副業容認」に大きく舵を切りました。副業に関心のあるあなたのために、ローリターンだけれどローリスクな「月3万円ビジネス」を提唱する、発明家にして工学博士の藤村靖之さんにお聞きしてきました。


那須高原の発明家

春の日差しで、那須連山の白い冠雪が輝いていた季節に、栃木県・那須町、藤村靖之さん主宰の研究所「非電化工房」を訪れました。大きな池を囲むかわいらしい形の不思議な建物群の中には白いヤギがいて、こちらを覗いています。今日はお休みですが、併設のカフェもあり、まるで北欧風のテーマパークのようでした。

「こんにちは、いらっしゃい!」

と出迎えてくれたのが、「月3万円ビジネス」を提案する藤村さんです。真っ白いひげをたくわえたやさしい風貌は、サンタクロースを連想させます。

今まで数々の発明品を世に送り出してきた藤村さんの得意分野は、「電気を使わずに愉しく暮らす技術」。炎天下でも6度まで温度を下げることができる「非電化冷蔵庫」は、モンゴルの遊牧民に大好評、今や世界中からオファーが来ています。そんなアイディアマンの藤村さんの提案する「3万円ビジネス」とは?

「月3万円ビジネス」ってどんなもの?

藤村さんの著書『月3万円ビジネス』(晶文社、2011年)、続いて出版された『月3万円ビジネス 100 の事例』(同、2015年)は今も売れ続け、好評を博しました。これらによると、月3万円ビジネスの実例は以下のようなものです。

■食べ物を乾燥させるビジネス
天日で干し野菜やドライフルーツを作る。道具の材料はホームセンターで手に入る。

■家々の窓に花を飾るビジネス
窓の外に飾る鉢植え用のボックスを作り、提供する。窓一つにつき5000円ほどの利益。

■機械修理ビジネス
機械いじりが得意な人向け。農機具などの修理やメンテナンスを低額で請け負い、無理な部分はメーカーにつないであげる。

■ウエディングビジネス
結婚式にお金をかけたくないカップル向けに、手作りのウエディングをプロデュースしてあげる。

■ママカフェ
実家の空き部屋を利用した、子連れで利用できるカフェ。当番制の保育者に時給を支払うが、保育者も利用者になれる。

そんなに大きくは儲からなさそうですが、そんなにタイヘンでもなさそう。これなら、月3万円くらい稼げるかもという気になってきます。

誰にでもできて、すぐに始められる

藤村「月3万円ビジネスはすべて、“スモールビジネス”。特別な技術や能力、資本がなくても、誰にも始められるし、地方でもできます。僕は東北や北陸をはじめ、全国のさまざまな地方都市でワークショップを行ってきましたが、いわゆる“文系のお母さん”たちだって、自分たちで考え出したビジネスで、きちんと利益を上げています」

“文系のお母さん”というのは、理系の知識や技術のない「普通の人」の代名詞。普通の人でも、自分たちでビジネスを起こすことができるかもしれません。しかしなぜ、3万円なんでしょう。

「3万円というのは、すぐに手が届く額。少額だから、競争が生まれない。バカバカしくてぎらぎらしたオジサンたちは手を出さない。そしてこのスケールのビジネスの種は無尽蔵。僕には弟子が1000人以上いるのですが、彼らも続々と月3万円ビジネスを生み出していますよ」

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