月3万円ビジネス+自給率を上げる

藤村「もちろん、月3万円じゃ暮らせない。だから、月3万円ビジネスを複数やる。これを、“スモールビジネスの複業化”と言っています。そういう生き方を、僕は提案しているんです」

従来の日本は、一つだけの仕事に専念することで、豊かな暮らしをめざしてきました。でも、非正規雇用が増え、給与も上がらず、有名企業でさえ盤石ではない現在、小さな仕事をいくつもかけもちすることは、意外に現実的なのかもしれません。

「僕の弟子たちは、月6万円あれば、じゅうぶん暮らせて貯金もできています。月9万円なら、夫婦が暮らせる。12万円あれば、小学生までのこどもが一人、育てられる。つまり、独身者なら、月3万円ビジネスを二つやれば暮らしていけるんです」
本来ならそれの収入額は「貧困」そのもののレベルのはず。それで暮らしていけるのは、小さなビジネスをいくつかかけもちすると同時に、自分でできることを極力増やして、徹底的に支出を減らすことができているから。

小さな畑を耕して食料を自給するだけでなく、ガスや電気をなるべく使わずにエネルギーを得る、クルマを使わず自転車や徒歩で移動、お下がりや交換で衣類をゲット。「現金が不要」ということは、「現金を稼ぐ」ことと同等の効果があります。

ギリギリまで現金支出を減らし、生活に必要なものを自給するためには、それ相応のトレーニングが必要です。非電化工房に住み込みが前提の「直弟子」たちは、一年間でそのノウハウを学ぶのだそうです。

「こういったことを“愉しく”できるようになることこそ、自給率を上げる上で必須です。自給率を上げ、自分で仕事を生み出して稼ぐ力をつけ、仲間と一緒にやっていく力、この力を僕は“自立力”と呼んでいます」

いちばん大切なのは、「豊かな時間」と「仲間」

月3万円ビジネスについて、藤村さんが最も強調するのが、「一つのビジネスにつき、2日以上かけないこと」「仲間を持つこと」です。

藤村「自由時間が減ってしまうと、生活の自給率が減っていく。すると、すべてをお金を出して買わねばならなくなり、支出が増えてしまうから。そしてもう一つ、“仲間”は必須。孤立しちゃったら、組織に依存しなくちゃ生きていけなくなるから」

ここで言う“仲間”とは、ビジネスパートナーや出資者ではなく、「共に楽しみ、生きていく仲間」のことだそう。

「一つに2日しかかけないなら、月に4日しか働かなくて済む。身も心も擦り減らないから健康で、みんなと仲よくできる、その上貯金もできる。いいでしょう?」

気軽な副業……と考えていましたが、「月3万円ビジネス」はちょっと違うようです。多忙な仕事とかけもちで行っては、その趣旨に反します。でも、「自由な時間と仲間を増やし、お金と組織に依存しない」ことを目指すのであれば、月3万円ビジネスとは、単なるお小遣い稼ぎじゃではなく、ライフスタイルそのものの転換を意味しているのかもしれません。