はじめに
あなたの近所にある「サークルK」と「サンクス」が予定より一年早く「ファミリーマート」に店名が変更することになりそうです。ファミリーマートによればこれまでの予定より早く、2018年の2月には全国6000店の「サークルK」と「サンクス」の店名変更を完了させるということです。
ファミリーマートがこの店舗名統合を進める理由は、業界トップのセブンイレブンに店舗数で追いつくため。統合後のファミリーマートの国内店舗数は1万8200店舗と、ほぼセブンイレブンと同数になるからです。しかしなぜ、ファミマは店舗名統合を急ぐのでしょうか?
最終ゴールとしては先行するセブンイレブンと同じレベルまでファミマの店舗の品ぞろえを引き上げることにあります。セブンではセブンプレミアムというブランドの名の下に、惣菜や冷凍食品、スナック類など「ひとり暮らしや高齢者夫婦の生活にぴったりの」非常に魅力的な商品の品ぞろえを実現しています。
これを追撃するファミマ、そしてローソンの課題は商品力の格差。早くここに手をつけたいというのがファミマの本音です。
そこで店舗統合です。統合によって店舗規模が現在の1万2000店から1万8000店へと1.5倍の数に増えることで、ふたつの効果が期待できます。
店舗統合で期待できる2つの効果
ひとつはファミマ向けの独自商品を開発する協力企業にとって販売量が1.5倍になりますから、それだけ商品開発に力を入れられる体力がつく。「これまで以上に本気で、消費者が欲しいと思えるようなファミマ独自商品を開発して欲しい!」とお願いすることができるようになりますし、それを頼まれた側も、これまで以上に投資をしていい商品を開発できるだけのインセンティブが増えるのです。
そしてもうひとつ、ファミマとサークルK・サンクス、ふたつのコンビニチェーンの協力会社の中から、いいとこ取りで優秀な協力会社をピックアップすることができます。
おにぎり、弁当、冷凍食品、惣菜、さまざまな分野で仕入れ先はふたつのチェーンが統合すればふたつは必要ありません。当然、規模の効果を求めてひとつに絞るのですが、その際に「ファミマの方がもともと大きいからファミマに統一する」必要はまったくありません。
サークルK・サンクスの惣菜やおにぎりがおいしければ、そちらに統一することもできる。要は商品開発力についていいとこ取りをしながら、協力会社を選別することができるようになるのです。
しかし、なぜ店舗名統合をことさら強調するのでしょうか?