マレーシアの電撃的な政権交代があった5月。その裏で、インドでは今年最も注目されるイベントの1つ、カルナータカ州議会選挙が実施されました。

日本人にとっては、カルナータカ州という地名よりもバンガロールという地名のほうが馴染みがあるかもしれません。インド南部の同州は、ハイテク産業が盛んな「インドのシリコンバレー」、バンガロールを州都に構えるインド主要州の1つです。

ただ国政において、カルナータカ州はいち地方にすぎません。そんな地方の州議会選挙が世界的に注目された理由はなぜでしょうか。カルナータカ州議会選挙を通して、インドの現状を見ていきましょう。


株価指数は最高値を更新

国民の熱い期待を背負い、2014年に誕生したナレンドラ・モディ首相は、これまで「モディノミクス」と呼ばれる経済改革は断行し、インドを好況へと導いてきました。

高額紙幣の刷新や財・サービス税(GST)の導入といった野心的な改革が一時的な景気の停滞を招いたものの、インド経済は再び高成長軌道へと回復しつつあります。

インドの経済成長率に見通しについて、アジア開発銀行(ADB)は2018年7.3%、2019年7.6%、国際通貨基金(IMF)も2018年7.4%、2019年7.8%と、ともに成長加速を予想しています。

モディ首相の大胆な経済改革は海外でも評価が高く、格付け機関ムーディーズは昨年、インド国債の格付けを14年ぶりに引き上げました。さらに海外からの資金流入などを追い風に、インドの代表的な株価指数・センセックス指数も今年1月に史上最高値の3万6,444ポイントをつけています。

州議会選挙が注目されたワケ

今やインド経済の高成長のカギを握るのはモディ首相の改革と言っても過言ではない中、来年5月までに予定されている総選挙の行方が注目を集めています。

すでに熱戦の火ぶたが切られており、今回のカルナータカ選挙は今後の情勢を占ううえで重要な地方選挙の1つと位置付けられていました。というのは、カルナータカ州議会は国政野党の国民会議派(INC)が政権を担う、数少ない地方議会の1つであったからです。

開票結果を見ると、国政与党のインド人民党(BJP)が国民会議派を押さえて第1党に浮上しました。

ただ、過半数の議席数を確保することができず、政権の行方は第3党で地域政党のジャナタ・ダルの行方に委ねられました。最終的には、何としても与党の座を守り抜きたい国民会議派の厚遇により、国民会議派とジャナタ・ダルが連立を組み、新政権が発足しました。

カルナータカ州で政権奪回を逃したインド人民党ではありますが、今年2月のインド北東部3州の州議会選挙で圧勝した勢いは衰えておらず、来年の総選挙でのモディ首相再選も視野に入ってきたといえそうです。

地方選の金融市場への影響は?

インドの金融市場は今年に入り、他の新興国市場と同様、米国の長期金利上昇に伴う資本流出圧力から、値動きの荒い展開となっています。

株式市場では、センセックス指数が2月から3月にかけて、1月の史上最高値から1割以上調整したものの、好調な経済成長率見通しやインフレ懸念の後退などから、足元では反転基調となっています。

反面、外国為替市場では、インドルピーが対米ドルで下落しており、直近では2016年以来の安値である1ドル=68.43ルピーをつけるなど、弱含みで推移しています。

足元の金融市場は、地方選挙でのインド人民党圧勝という材料に対して反応は鈍いものの、今後予定されている州議会選挙でインド人民党が勝利を重ね、モディ首相の再選が固まれば、再び海外資金の流入が期待できるでしょう。インドは引き続き、魅力的な投資対象であると考えています。

(文:アイザワ証券 投資リサーチセンター 北野ちぐさ 写真:ロイター/アフロ)