はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
現在、自宅の住宅ローンが1,000万円ほどあります。購入時に名義の3割を母、7割を私にしました。ローンは私が支払っています。名義をすべて(10割)私に変更したいのですが、贈与税を安くすませる方法はありますか。
〈相談者プロフィール〉
・女性、55歳、既婚、子どもなし
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:45万円
・毎月の支出目安:35万円
花輪: 基本的に住宅購入は、実際に負担する資金の通りに持分を登記しないと贈与になってしまいます。
すべての資金を1人で負担するなら、負担した人の単独の名義でいいのですが、複数の人でお金を出し合った時には、共有名義で登記する必要があります。
マイホーム資金は持分に合わせて支払わなければならない
たとえば、マイホームの取得費が2,000万円で、頭金などを母と子が100万円ずつ出し合います。
残りの1,800万円のうち、500万円の住宅ローンを母の名義にして、1,300万円を娘の名義にした場合、母の持ち分は頭金とローンで600万円を負担するので「10分の3」、娘は残りの「10分の7」となります。
頭金を含めて、負担した資金の割合に応じた持ち分で登記することになります。
母が資金を負担していないのに持ち分があると、子から母への贈与があったとみなされ、金額によっては贈与税がかかることがあります。親子だから、夫婦だからといっても、税務上は通じないところがあるので要注意です。
登記訂正は司法書士に、専門家を利用するのも手
登記上の持ち分を、お互い負担した金額の割合に合わせるには、訂正の登記が必要になります。
司法書士などの専門家に依頼することができます。その際に司法書士への報酬と実費がかかります。日本司法書士会連合会のホームページ「司法書士総合相談センター一覧」では、無料で相談ができるセンターを探すことができます。登記のことは、ぜひ専門家に聞いてみてください。
税金のことは、税理士、もしくは税理士資格を持ったファイナンシャル・プランナーに相談をするとよいでしょう。
日本税理士会連合会では税理士会の相談会を実施。全国15の税理士会では税理士記念日(2月23日)を中心に、無料税務相談会、講演会、税金セミナーなどを開催しているので利用されてみてはいかがでしょうか。詳細は各税理士会にお問い合わせください。
このように、初回は無料で相談ができる専門家の窓口もあるので、日頃から税理士や司法書士を利用していない人も、活用されてみてはいかがでしょうか。