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ワールドカップと株価の“ベタな関係”は実在するのか

日本代表が勝てば、翌日の株価は…

サッカーの祭典、ワールドカップ(W杯)が6月14日に開幕しました。7月15日の決勝戦までの1ヵ月、サッカーファンにとっては、テレビの前で名選手の美技に釘付けの日が続くでしょう。

W杯といえば、日本戦の後は、東京・渋谷のスクランブル交差点の騒ぎや、大阪・道頓堀川に飛び込んだりなどの大騒ぎがニュースにもなります。そういったニュースを聞くと、ちょっと冷めた気持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ちょっと待ってください。今回は、W杯の日本戦の成績が翌日の株価の動きと関係するというお話をしましょう。サッカーにまったく興味ないという人も、サッカーの成績を投資に活かせるかもしれないお話です。


スポーツにも生かせる行動経済学

前回の記事では「梅雨と株価の関係」を紹介しました。梅雨の時期に雨が多いと株価が安いという関係です。

株価と一見、関係がなさそうでも、人間の気持ちを左右する物事は株価の動きも左右するという研究が注目の行動経済学です。雨が降ると憂鬱な気分になる人も少なくありません。憂鬱な気分が投資家の姿勢にも影響を与えるため、株価が安くなってしまうというものです。今回のW杯と株価の関係も、行動経済学が根底にあります。

世界的な経済や経営財務の分野で最も権威がある学会の1つに、米国ファイナンス学会があります。今から10年前にさかのぼりますが、2008年に注目の論文が学会で発表されました。「スポーツ心理と株式リターン(Sports Sentiment and Stock Returns)」という論題のものです。

論文の中身ですが、「W杯で負けると、その国の翌日の株価は安い」というものです。W杯で負けると投資家もガッカリするため、投資姿勢にネガティブな影響を与えるということです。

論文では、特に負け試合の後が強調されています。ただ、勝った後の株価もプラスの傾向となっています。冒頭でもお話ししましたが、日本戦の勝利後を思い返すと、ファンが大騒ぎする程の盛り上がりようです。こうした気持ちが前向きなときには、投資するうえでもポジティブな姿勢が強まるというものでしょう。

地区予選は勝っても負けても株価下落

表1は論文から抜粋したものです。ここでちょっとW杯の仕組みをおさらいしてみます。

今、ロシアで行われているW杯は表1の「本戦」に当たります。ここで戦える32ヵ国がW杯出場国になります。本戦出場を手にするには、地区予選を勝ち抜かなければなりません。日本の場合、アジア予選を勝ち抜いて、今回の出場権を得たのです。

まず、地区予選の結果を見てみましょう。勝った直後も負けた直後も、その国の株価は下がってしまう傾向が見られました。

具体的に言うと、こんなイメージです。日本代表は2017年8月31日アジア最終予選のオーストラリア戦で2‐0の勝利を収めてW杯出場を決めました。この翌9月1日の日経平均株価を見ると前日比45円高でした。

しかし論文では、1973年から2004年まで各国の代表チームが勝利した後の株価を集計すると、0.067%のマイナスとなっています。今一度、日本代表のオーストラリア戦を考えましょう。

株価に対する地区予選と本戦の違い

この試合はW杯本戦の切符を手にできるかどうかという重要な一戦でした。ですので、勝利が人々の気持ちにも大きくポジティブに働きました。

しかし予選の他の多くの試合は、サッカーにそれほど力を入れない国々との対戦も多く、勝っても「当たり前」と思われるものも少なくありません。こうした試合も全部合わせると、予選の結果は株価にあまり影響がないのかもしれません。

そして、やはり本戦になると傾向が違ってきます。特に本戦の中でも、グループリーグを勝ち抜いた国だけが進むことができる決勝トーナメントでは、勝った直後がプラス(0.172%)、負けた直後はマイナス(▲0.351%)の傾向が見られています。

論文では、負けた直後の「ガッカリ効果」の株価へのマイナスの影響が大きいことがクローズアップされていました。しかし、勝った直後の株価のプラスも注目できます。

(写真:ロイター/アフロ)

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