はじめに

日本戦前後の株価を左右する要因

そこで日本代表のW杯本戦の戦績と、直後の株価の関係を調べてみました。4年おきに行われるW杯ですが、今回のロシア大会の出場を含めて日本は6回出場を果たしてきました。

これまで日本戦は通算で17試合でした。そのうち日本が勝った試合は4回に過ぎません。勝率は23%と、良い成績ではなかったようです。そして、これらの4回の直後の日経平均の騰落率を平均すると、▲1.2%と下落していました。

一方、負け試合も9回あったのですが、その直後の騰落率平均も▲1.1%となっています。学会論文と同様にガッカリ効果が株価に表れていますが、勝った直後とほぼ同程度なのが気になります。

そこで、負け試合に関してもう少し、深掘りしましょう。表2では、マスコミなどの報道を元に事前の結果の予測も示しています。

W杯のときにいつも感じるのは、マスコミの取り上げ度合いと、それにつれた人々の期待です。17試合中で、半分以上の9回が勝ちを予測していました。これは予測というよりも“期待”と呼ぶのが良いのかもしれません。

そして、勝つと期待していたにもかかわらず負けてしまった試合は過去4回ですが、それらを平均すると、▲2.64%と大きな下落でした。期待外れの負けで、人々のガッカリした気持ちが高かったからと見られます。

負け試合なのに株価上昇の理由

これに対して、負けると思っていて実際も負けた場合は0.40%と若干ではありますが、むしろプラスでした。

たとえば、2010年の南アフリカ大会のオランダ戦は事前の予想通り0対1で負けてしまいた。しかし、翌日の株価は2.43%も上昇しました。当時のオランダは屈指の強豪国で、南アフリカ大会では準優勝しました。この強敵オランダを1点でしのいだのです。

負け試合になったとはいえ、次のデンマーク戦に大きな期待が膨らみました。人々の気持ちも明るくなり、むしろ株価にポジティブでした。ちなみに、オランダ戦を除いた、残りの3試合の予想通り負けた翌日の株価の平均は、▲0.28%とマイナスとなりました。

基本は、事前予想通りに負ければ、ガッカリ効果で株安です。しかし、将来の日本代表に期待を持たせる善戦なら、ガッカリ効果の株安にはならないということです。

こうしてみると、表1で紹介した論文の結果と、日本戦との関係はちょっと違う印象です。欧州や南米などと比べると、日本はサッカーが遅れていると言われています。国際サッカー連盟(FIFA)が6月7日に発表した世界ランキングでは日本は61位でした。

こんなランキングで実力は測れないという読者もいらっしゃるでしょう。しかし、W杯本大会に出場できるのは32ヵ国に過ぎないことを考えても、W杯で勝つことが難しいのはわかります。ですので、負けても、それはある程度は仕方ない話で、評価できる善戦なら人々の気持ちがポジティブになるのでしょう。

負け予想なのに勝利したらどうなる?

それでは、結果を整理しましょう。

まず、事前に勝ちを予想していた場合は単純です。負けた場合はガッカリ効果が出てしまうため、翌日の株価のマイナスの反応は大きいものです。勝った場合には期待通りで相場への反応は期待できないものです。

さきほど例に挙げたように、南アフリカ大会のオランダ戦での善戦で日本代表には大きな期待がかかってしまいました。このため、次のデンマーク戦では勝利が期待されていました。実際に勝利しても、特に株価へのプラスの反応になりませんでした。

一方、事前に負けを予想していた場合はどうでしょうか。負けると、基本はガッカリ効果で株価は下がるのですが、強豪国に善戦すると翌日の株価はプラスになるようです。

それでは、負けを予想しているにもかかわらず勝利したら、どうでしょう? 実は、日本はW杯の出場経験が浅いこともあり、こうした経験はありません。しかし、負けの予想で結果が引き分けだった試合が1つあります。

2002年の日韓W杯の初戦、強豪ベルギー戦です。そして、その後の株価は上昇しました。引き分けでも株価はプラスですから、勝ったらそれを上回る意外高が期待されます。

注目はコロンビア戦とポーランド戦

さて、今回のW杯ですが、直前の監督交代のゴタゴタや、強豪との親善試合が芳しくないこともあり、あまり人々の期待が高まっていないようです。足元の予想では、セネガルとは上手くいって引き分けですが、2つの強豪国、コロンビアとポーランドには負けの予測が見られています。

今回の分析からは、事前が引き分け予想の場合は、その後の戦績と株価の関係は明確に見られませんでした。ですので、セネガル戦後の株価は何とも言えないところです。

しかし、コロンビア戦とポーランド戦は、事前に負け予想されている分、負けても意外な善戦や、勝利となれば、サッカーファンにとって嬉しい話というだけでなく、株高で投資家にとっても良いニュースとなると期待できます。

この記事は参考になりましたか?