はじめに
ユニクロを運営するファーストリテイリングが、これまで「2020年に5兆円を目指す」としてきた長期目標を3兆円に引き下げると発表した。国内最大のファッション企業であり直近の決算では連結で約1.8兆円の売上高を発表したユニクロだが、同時に足元の成長鈍化を考慮すれば4年後の5兆円は「現実的ではない」と目標を引き下げたのだ。
ユニクロに何が起きているのか
前年比でユニクロの成長を見ると一昨年から昨年にかけての売上高の成長率は22%増と非常に大きく成長していた。ところが今年の決算では売上高成長率は6.2%とかなりのペースで鈍化している。
このように成長の足をひっぱったのは国内事業の不振だ。国内の消費不振が背景にあるという意見もあるが、どちらかというとユニクロの低迷の方が国内同業者よりもひどいようだ。
そうなった一番の要因は昨年から今年にかけて値上げを試みたことで、価格が大きく上昇したことで大幅な消費者離れを引き起こした。今年に入ってからあわてて価格戦略を見直し、コストを下げる方向で動いているが、一度離れた顧客がどこまで戻ってこられるか難しいところだろう。
今後の成長は海外事業次第
さて、このように苦しいユニクロ事業だが、国内が立ち直れば冒頭の長期目標が達成できるかというと、そうでもないところにファーストリテイリングの問題がある。
基本的に国内のユニクロ店舗はほぼ飽和状態なのだ。売上高3兆円を目指すという計画の意味は、先行するH&MやZARAのようにグローバル市場で成功することを前提にしている。
つまり、アメリカ、ヨーロッパ、中国、そしてアジアで、H&MやZARAをユニクロが追い越すところまでいかなければ、この長期目標は達成できないという計画なのだ。
ところがその海外事業の不振が長期的な成長計画に暗雲をもたらしている。どのように不振なのか、ファーストリテイリングの発表ではなく、私が実際に目にした消費者の立場で解説してみたいと思う。