はじめに
比較的順調なのは上海のユニクロ
まず海外のユニクロの中で比較的いい感じで現地の消費者に受け入れられているのが上海のユニクロだ。店舗に入ると日本と同等の熱気を感じることができる。
実は上海のユニクロは日本のユニクロよりも3割から5割くらい価格が高い。理由は中国の税制にある。たとえば人気のヒートテックだが、日本の東レから素材を輸出して中国の協力工場で縫製し、また日本に輸入して日本のユニクロで販売している。
このように日本に戻す製品については中国の税関は関税を取らないのだが、中国国内で販売するユニクロには東レから輸入した生地に関税がかなりしっかりとかかる。だから日本国内のような低価格では販売できない。
それでも上海でユニクロが人気なのは、競合企業と比べてデザインも縫製もずっとしっかりしているからだ。デザイン面の好みで言えば日本風のデザインが上海ではやや憧れるファッションであるということもあり、上海ではユニクロ人気を確保できている。
ところが少し離れた場所では事情が変わって来る。
マカオではグローバルブランドに勝てていないユニクロ
同じ中国でもユニクロのマカオの店舗はそれなりに混んでいるとはいえ上海ほどのにぎわいとはいいづらい。
私が見た場所は、マカオ最大級のカジノであるベネチアンに隣接する巨大なショッピングモールで、そこにはほぼ世界的なファッションブランドが全部そろっている。
カジノで大勝ちした観光客が、ブランド品を爆買いして帰る。そんな目的で使われるショッピングモールだ。そこで比べてみるとやはりグローバルファッションブランドの直営店の方がマカオに来訪する中国人旅行客、おそらくはその中でもこのモールで爆買いするような富裕層レベルの旅行客には人気のようだ。
とはいえユニクロとアディダスやナイキを比較しても意味がないという意見もあるだろう。しかしZARAと比べても、残念ながらマカオではZARAの方が集客力があるようだ。
つまり上海での人気はあくまで2000年頃に東京で西日本から上陸したユニクロが人気になったのと同じで、グローバルブランドとしてではなく、「いい商品がこんなに安いお店」という地元のお店としての人気から脱却できていないのだ。