はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
2年後に同業の彼女と結婚予定です。そのため、数年後に住むための不動産を買いたいと思っていますが、都心のマンションか、郊外の戸建て、どちらがいいか迷っています。都心が気に入っているものの、一戸建ては高いですし、マンションは将来の資産価値が少し不安です。また家計を考えると、どれくらいまでの価格がいいのかアドバイスをいただけると幸いです。今後、収入が大きく下がることはないと思いますが、退職金は期待できません。
〈相談者プロフィール〉
・男性、30歳、未婚
・職業:医師
・居住形態:賃貸
・住んでいる地域:東京都
・手取り月収:110万円
・毎月の支出目安:35万円
・総資産額:2,000万円
花輪: ご相談ありがとうございます。
安全に返済できる住宅ローンの金額は?
住宅ローンの毎月の返済額は、手取り月収の20~25%を目安にするとよいでしょう。
相談者の月収ですと、手取りの約20%にあたる22万円を毎月の住宅ローンの返済に回すとすると、返済期間30年、金利1.5%元利均等返済の場合、借入元金限度額は6,374万円になります。
この数字は借りられる金額ではなく、安全に返済できる金額になります。収入が高い人ほど収入減少のリスクがあるために、保守的に見積もるとよいでしょう。
金融広報中央委員会の「知るぽると」では、借入返済額のシミュレーションをすることができます。
ローン以外にもかかる住居費とは?
住宅ローン以外に、固定資産税・管理費・修繕費などの支払いもあるため、住居費全体で手取り月収の30%以内を目指すとよいでしょう。購入時だけではなく、毎年払う税金や運用費など、その後のランニングコストも大きいですね。
途中で金額が上がって大変ということにならないためにも、税金や費用について、事前によく確認しておくことをおすすめします。ランニングコストとしては具体的に下記の費用があります。
固定資産税
固定資産税は土地や建物など、不動産を所有している人が毎年支払う税金です。金額は立地や土地の広さなどによって変動しますが、毎年20万円前後の金額が発生します。
管理費・修繕積立費
マンションの場合、管理組合や管理人常駐のための管理費、そして将来のメンテナンスのための修繕積立金が必要になります。どちらも5年毎に見直しのあるケースがほとんどです。特に修繕積立金については、最終年時には4~5万円の支払いまで上昇するケースも、ごく一般的です。戸建ての場合でも、計画的に将来の修繕資金を積み立てておくと安心です。
頭金はいくら必要?
マイホームを購入する際には、自己資金を3割程度(諸費用に1割、頭金に2割)準備できると安心です。分譲価格のうち2割は自己資金からまかない、残りの8割を住宅ローンで返済するのが安全です。
諸費用(権利登記の費用や火災保険、印紙代など)は、物件価格の約1割必要になります。頭金の2割と合わせて考えると、買いたいと思っている不動産価格の3割程度が住宅購入資金として目指す貯金額になりますね。
相談者の場合、資産が2,000万円あるので、こちらを諸費用や頭金に充てることもできるでしょう。頭金が多いと住宅ローンの融資を受ける際に優遇レートになる場合があります。
都心のマンションか、郊外の戸建てを考える場合も、まずは予算から決めて、物件を探しに行くとよいでしょう。ライフスタイルに合わせて立地やマンション、戸建てのメリットデメリットを紙などに書き出して、パートナーと話し合って決めるとよいですね。