日本では、不妊治療の中でも体外受精などの高度な治療を行う人が増加中です。2015年に日本で行われた体外受精は42万4151件。赤ちゃんの約20人に1人に当たる5万1001人が体外受精で生まれ、治療件数も治療による出生数も過去最多となりました(日本産科婦人科学会の2017年9月の発表より)。

一方で不妊治療は、保険適用外の治療が多く、関わる費用は一般的に高額と考えられています。実際、どのような治療があり、それぞれどのくらいの費用がかかるのでしょうか。


基本検査から顕微受精までの費用

不妊治療といっても、その治療法は原因や状況によってかなり多岐にわたります。大まかには以下の5段階を踏むことになります。

(1)基本検査:女性ホルモンの値を調べる血液検査、子宮や卵巣の状態を見る超音波検査、卵管造影検査など。
費用:8000~1万円以上

費用や項目数によるが、血液検査は1回3000円前後。超音波検査は1回3000円前後。卵管造影は30000~1万円。月経周期に合わせて数回検査が必要。結果がまとまるまで3カ月ほどかかることも。男性側の基本検査や、詳細を知るために特殊不妊検査を受けるとさらに費用はかかる。次のタイミング法に移る前に、この段階でホルモン療法による体質改善をはかる場合もある。

(2)タイミング法:排卵日に合わせて、性交し妊娠を待つ。自然排卵でうまくいかない時は、排卵誘発剤を使ったタイミング法を試す。
費用:1万~2万円(月経から次の月経までの1周期あたり)

1回の受診料は2000~3000円。ただし、排卵日を把握するのに1カ月かかり、何度も通院・検査する必要も。超音波検査を月に2回受けたり、排卵誘発剤を使うと保険適用外になることもある。

(3)人工授精:事前に採取した精子を子宮内に注入し、自然な受精・着床を待つ
費用:2万~3万円(1回あたり)

90%の人が4~5回目までで妊娠。1回分だけの費用では足りない場合も多々。実際の人工授精まで何度か検査・通院もある。5~6回以上の人工授精で妊娠しなかった人は体外受精へ。

(4)体外受精:卵子と精子を採取し、精子が卵子に自力で侵入(受精)するまで待った後、分裂・発育した卵(胚)を子宮内に移植する
費用:30万~50万円前後(1回あたり)

保険適用外。1回の費用は病院によってばらつきがあり、1回80万円以上かかるところも。通院回数は月平均6回ほど。

(5)顕微授精:採取した卵子に人為的に精子を注入・侵入(受精)させ、分裂・発育を待って移植する
費用:30万~60万円前後(1回あたり)

保険適用外。病院によってばらつきがあり、1回100万円以上かかるところも。卵胞が正常に発育しているかを見るために、連日通院することも。

助成金は地域によって違いあり

タイミング法や人工授精は「一般不妊治療」、体外受精や顕微授精は「特定不妊治療」や「生殖補助医療(ART)」「高度生殖医療」と呼ばれ、特に後者の体外受精や顕微授精に高額な費用がかかります。

最近では、体外授精や顕微授精は、35歳以下のみ対象とした上で、不成功の場合、クリニック側が費用を一部負担する「成功報酬制度」を設けているところもあります。しかし、通常、不妊治療には平均して2~3年かかります。また、体外受精以降の方法をとった場合、回数を重ねたり、通院費用なども含めると総額で約100万円近くかかる場合があることも推測されます。

保険のきかない自由診療であり、技術の違いや使う薬の違いから、クリニック・病院によって個別に料金設定をしている部分も多く、結局は、「どの病院を選ぶか」によって、かかる費用は大きく違ってくることにも注意が必要です。

国による不妊治療に対する公費助成は、夫婦合算の所得730万円未満まで、妻の年齢43歳未満まで、回数は6回までと所得・年齢・回数の制限を設けています。

ただし、自治体によっては、少子化対策を兼ねて回数制限を撤廃したりなど、独自に充実せている地域があります。また、金融庁は2016年から不妊治療の費用を保障する保険商品を解禁しました。こうした保険に入ったり、助成金が使えるかどうかを忘れずに検討することも大切です。

参考資料:『不妊治療を考えたら読む本』(講談社ブルーバックス、浅田義正・河合蘭著)ほか