はじめに
ドトールHDとの比較
コメダHD | ドトールHD | |
---|---|---|
自己資本比率 | 38.7% | 78.7% |
売上高営業利益率 | 29.6% | 9.3% |
営業活動によるCF(小計)※ | 39億円 | 51億円 | 売上高 | 115億円 | 637億円 |
参考:2016年8月期(第2四半期)決算資料より
※営業活動によるCFの分析には、決算短信の連結キャッシュフロー計算書「小計」欄の数値を使用
まず、「倒産してしまう可能性はないか」を表す「自己資本比率」について見てみましょう。
16年8月期のコメダHDの自己資本比率は38.7%です。業種等によって異なるため、一概には言えないのですが、自己資本比率は40%以上であれば倒産しにくいと言われています。コメダHDの場合、40%をやや下回っているものの、近似していることから財務安全性に大きな問題はないと言えるでしょう。
一方、ドトールHDの自己資本比率は78.7%と非常に高い水準ですから、財務安全性の高さでは、コメダHDはドトールHDに及ばないということがわかります。
次に、「本業で効率的に儲けているか」を表す「売上高営業利益率」です。
コメダHDの売上高営業利益率は29.6%でした。これは、突出して高い水準です。ドトールHDの8.2%と比較しても、その高さは一目瞭然です。筆者は「コメダHDはあまり儲かっていないのではないか」と予想していたところ、逆に非常に収益性が高いことを知り驚きました。
最後に、「本業でどのくらい現金を稼いでいるか」を表す「営業活動によるキャッシュフロー」です。
16年8月期は、コメダHDが本業で稼いだ現金は39億円であること分かりました。企業の活動では、最終的には本業で現金を増やすことが必要となります。本業で十分に現金を増加させているコメダHDの企業活動は順調だと考えることができます。ドトールHDの51億円には及びませんが、売上高に5倍以上の差があることを考えると、いかにコメダHDが効率的に現金を増加させているかがお分かりいただけるのではないでしょうか。
コメダ珈琲の企業努力
このように非常に収益性の高いコメダHDですが、具体的にはどのような企業活動をしているのでしょうか。
決算説明では、決算数値だけではなく、コメダHDの企業努力の数々がディスクローズされており、利益率が高い理由の一部を知ることができます。
例えばスイーツであれば、人気が高いが原価率も高いシロノワールだけでなく、原価率の低いかき氷にも力を入れることで全体の利益率を向上させているそうです。また、近年ブラックコーヒーが好まれることに着目し、ストレートで飲む「金のアイスコーヒー」を発売し、ミルク・シュガーの使用量を減らすなど、地道なコストダウン策がとられています。
とても分かりやすい説明資料・動画ですから、興味を持たれた方はご覧になってみてはいかがでしょうか。閉店率も低く、FC店との協力体制がうまく機能していることや、SNSを活用して広告費を抑えていることなども読み取れると思います。
コメダHDの決算書に興味はお持ちいただけましたでしょうか。ちなみに、コメダHDは個人投資家に人気の銘柄です。
その理由は、コメダHDで利用できる電子マネー(1年間保有すれば2,400円分)と高配当(1株当たり50円)です。1単元は100株ですから、株価が1,850円で一定と仮定すれば、株の購入価額は185,000円。投資額に対し、株主優待と配当を合わせた年間の利回りは4%となりますから、「コメダ珈琲店」のサービスの質の高さや高い収益性を誇る業績と合わせて、人気が出ることも頷けます。
皆さんも、街中で気になるサービスや好きな商品を発見した際には、ぜひ提供会社の決算書をチェックしてみてください。サービスの裏に隠されたドラマに触れてみると、お気に入りのサービスがもっと好きになるかもしれません。