はじめに
年齢の節目である30歳になると、仕事や結婚など将来について考える時間が増えてくるのではないでしょうか。どのように将来過ごしたいかを考えるにあたって、必ず考えはじめるのが「お金」のことです。
就職してから自分なりには無駄遣いせずに貯蓄してきたつもりでも、このままの貯蓄ペースで大丈夫なのか、同じくらいの年収の人はもっと貯蓄できているのかなど気になりつつも周りの友人には聞きづらいものです。
今回は、30歳独身一人暮らしの理想の貯蓄額について考えていきたいと思います。
生活費はどれくらいかけている?
総務省の家計調査報告による「年齢階級別家計支出(単身世帯)-2017年-」では、35歳未満の月の平均支出額は15万5,808円となっています。
内訳は次の通りになります。
費目 | 支出金額 | 割合 |
---|---|---|
食料 | 39,510円 | 25.4% |
住居 | 29,811円 | 19.1% |
光熱・水道 | 6,959円 | 4.5% |
家具・家事用品 | 3,339円 | 2.1% |
被服及び履物 | 7,712円 | 4.9% |
保健医療 | 3,627円 | 2.3% |
交通・通信 | 22,848円 | 14.7% |
教育 | 0円 | 0.0% |
教養娯楽 | 17,155円 | 11.0% | その他の消費支出 | 24,847円 | 15.9% |
ご自身の支出と比べてみるといかがでしょうか。
食料が一番割合を占めています。食料の支出は、自炊をするかどうかでも差がでます。外食の割合が多ければ食費も上がります。
住居については、住むエリアや勤務先からの住居手当によって異なります。実際の支出額は収入や生活スタイル、お金をかけたいものの志向によって異なります。
これまでのマネー相談の経験からすると、女性の場合、上記以外の費目では、美容費に5,000円~1万円くらいかかります。また、被服費については差があります。
洋服はほとんど購入せずセールの時期に必要なアイテムのみ購入するというケースから、貯蓄よりも頑張って働いているからこそオシャレを楽しみたいと洋服にお金をかけているケースと様々です。データでは、被服費は月7,712円ですが、何にお金をかけたいのか価値観によっても大きく異なります。
30代の単身者の年収別にみた貯蓄額は?
貯蓄額といっても年収によって貯蓄できる金額は異なります。30代の単身者の年収別に貯蓄額を見てみましょう。
【年収300万円未満】平均値255万円・中央値0万円
【年収300~500万円未満】平均値592万円・中央値200万円
【年収500~750万円未満】平均値1242万円・中央値750万円
【年収750~1000万円未満】平均値2870万円・中央値2250万円
【年収1000~1200万円未満】回答者1人につき参考まで。貯蓄0円
【年収1200万円以上】回答者2人につき参考まで。平均値3675万円
年収300万円未満では、貯蓄のない人が多いと考えられます。平均値が255万円であるので、年収300万円未満でも貯蓄ができないわけではありませんが、平均より生活費などの支出を抑え、無駄遣いせずに貯蓄を心がけているかどうかでも差が出ます。
年収300万円未満でも実家暮らしであれば、住居費がかからないため実家に食費など入れたとしても、貯蓄は無理なくできますが、一人暮らしとなると住居費の負担、食費の負担は大きなものです。
仮に30歳の人が23歳で就職した場合、7年間で200万円 (1ヶ月の貯蓄額2万4000円×12ヶ月×7年間=201万6,000円) を貯めたとすると月の平均貯蓄額は 2万4000円 になります。
実際には平均値より中央値の方が実感に近い数字だと思います。平均値は高額な貯蓄額の人が1人でもいることで大きく引き上げられます。例えば、10人中9人は貯蓄額が10万円だとします。残り1人だけ貯蓄額が1000万円だとしたら、平均値は (10万円×9人+1000万円×1人)÷10=109万円 となります。
つまりほとんどの人が10万円だとしても1人の人が1000万円と高額であることで、平均値が引き上がります。そこで中央値を用いることで実感に近い数字をみることができます。中央値は貯蓄額の少ない順(あるいは大きい順)に並べたときに中央(真ん中)に位置する人の貯蓄額になります。
貯蓄については、マネー相談事例からは中央値の金額が多いと感じています。年収が高いから貯蓄が多くできるという傾向はありますが、年収が高い人は仕事が忙しくお金を使う時間がなく気がつけば貯まっていたという人もいます。
一方、年収が高くなくても新入社員の時から無駄遣いせずコツコツ貯めて1000万円超えている人もいます。平均値を気にする人は多いですが、実際には中央値の数字が実態を表す数値です。