はじめに

4年間で何が変わったか?

2013年と2017年のグラフを比較して、何かお気づきでしょうか?真っ先に目につくのは、「夫婦対等に共働き」との回答が、どちらも7割を超えている点です。「夫が中心となって働き、妻は補助的に働く」もほぼ同じ数値。パッとみると二つのグラフはとてもよく似ています。

しかしながら、改めてよく見てみると差異がある項目が浮かび上がってきます。「妻が中心となって働き、夫は補助的に働く」と「妻が働き、夫は専業主夫」の2つです。

2013年と2017年を比較してみると、「妻が中心となって働き、夫は補助的に働く」は12.7、「妻が働き、夫は専業主夫」は9.7ポイントの差があります。女性活躍推進が叫ばれたことで、女性の労働意識の高まりがグラフに表れたのでしょうか。しかし、どうやらそうではなさそうです。2013年から2017年にかけて、数値が上がっているのではなく、下がっているのです。これはどういうことでしょうか。

もとの数値が多くはないとはいえ、不思議な感じがします。「妻が中心となって働き、夫は補助的に働く」「妻が働き、夫は専業主夫」と答えた人の数はいずれも、この4年のうちに1/3以下に減ってしまったことになります。女性の活躍を推進し、実際に働くお母さんの数も増えてきたはずなのに、なぜなのでしょうか?

グラフに隠されたメッセージ

フリーコメントの中に、この謎を解くヒントがありました。そのいくつかをご紹介したいと思います。

「仕事も家事も、で疲れていると思う(40代:契約社員)」「男性の働き方が大きく変わらなければ、女性の働き方は変わらないと思うので(50代:派遣社員)」「今の男性中心の社会が根本から変わらなければ、働く主婦の未来はあまり明るくならない気がします(50代:今は働いていない)」「家事は主婦(女性)がするものという風潮がそれほど変わるとは考えにくい(50代:派遣社員)」

2013年から2017年の4年間で何が起きていたのか。その間、働く主婦は増え続け、どんどん忙しくなりました。しかしながら家事は一向に減らず、働き始めた主婦は働くようになったぶんだけより忙しくなった、ということではないかと推察されます。

それは言い換えると、この4年の間に働く主婦層はより疲弊してしまった可能性があるということです。それなのに「妻が中心となって働き、夫は補助的に働く」とか「妻が働き、夫は専業主夫」なんてとんでもない!という悲鳴が聞こえてきそうな気がします。

未来に向けて乗り越えるべき課題

では、改めて問いたいとおもいます。働く主婦が増えるのは良いこと、と手放しに喜んで良いものなのでしょうか?

働く意欲を持つ女性は多く、結婚や出産を経たとしてもキャリアを継続できる社会の実現に近づいているという意味では、喜ぶべきことだと思います。

しかし、だからといって手放しに喜んで良いという訳ではありません。働く主婦が増えている現状に対し、社会環境の変革が十分とは言えないからです。働けば働くほど疲弊してしまうような社会で、人が幸せになれるとは思えません。それは、女性だけが背負い込むべき課題ではなく、男性も含めた社会全体で解決すべき課題であるはずです。

いま私たちは、大きな社会変革の真っただ中にいます。いずれ大人になる子どもたちに、誰もが働きやすい素敵な未来をプレゼントしてあげられるかどうか。それは、この変革の真っただ中にいる私たち一人ひとりがどう変化できるか、にかかっているのだと思います。

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