はじめに
今年6月、国会で成人年齢を引き下げる改正民法が成立し、約140年ぶりに成人の定義が変わることになりました。2022年4月以降は”18歳"から成人となります。
そうなると、一番の問題になるのでは?と言われているのが、お金のトラブルに関すること。18歳から契約当事者になることで、クレジットカードが親の同意なしで申し込めるようになります。また、10代のうちから悪徳商法や借金トラブルに巻き込まれる可能性もあります。
どうしたら、私たち大人が子供たちをトラブルから守ることができるのでしょうか。そのヒントを探すべく、10代に向けて「お金の知識の普及」を10年以上続けている、日本FP協会へお話を伺ってきました。
高校の先生たちも試行錯誤
日本FP協会では、金融経済教育の普及促進のため、2005年にテキスト「10代から学ぶパーソナルファイナンス」を作成し、全国の中学高校に無料配布をしてきました。
しかし、実際にテキストを手にした先生たちから「お金のことをどうやって教えたらいいのかわからない」という声が上がったため、協会では所属するファイナンシャルプランナーをインストラクターとして2009年から派遣しています。
現在、協会に登録しているファイナンシャルプランナーの中から全国公募をし、書類選考と実技試験に合格した約60名がインストラクターとして活動しています。
10代からのお金教育を謳っていますが、実際に多くの依頼があるのは高校からです。なぜなら高校を卒業後、進学するにしても就職するにしても、お金の知識は必須だからです。普通科の高校、商業高校や特別支援学校からの依頼もあります。
学校の授業に組み込まれる「お金教育」
学校の先生たちは、学習指導要領と「10代からのパーソナルファイナンス」のテキストを照らし合わせ、現代社会、政治経済、家庭科、総合学習などの時間を使っての授業を要請してきます。まずは、協会の担当者と学校の先生で話をし、授業計画案を先生に作ってもらいます。
その後、実際に派遣されるインストラクターと先生とで、より具体的に話し合い、当日の授業に備えます。大体、依頼から2カ月くらいかけてじっくりと授業案を練り上げるそうです。
「最近は、大人しい生徒さんが多いので、先生には事前にクラスの雰囲気なども伺い、当日の授業スタイルを決めていきます」(日本FP協会総合教育部)
実際に5年間、インストラクターとして首都圏の学校を中心に活動してきたファイナンシャルプランナーの竹谷希美子さんによると、授業はテキストを使ったものだけではないといいます。
「特別支援学校の先生たちからは、生徒たちが卒業後に直面するお金の管理についての依頼がありました。テキストでの理解が難しい場合は、オリジナルで寸劇の脚本を作り、生徒たちにロールプレイを繰り返してしてもらい、理解が深まる工夫をしました」