はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

約7年前に離婚し、大学生の娘と2人暮らしです。幼い頃に母を亡くし、独身だった母の姉が引き取って育ててくれました。現在、その伯母が認知症のため施設に入所しています。年金収入の伯母の世話を引き受けていますが、今後どの程度かかるのかが不明です。自身の生活や、娘の学費等を考えると、どれくらいの余裕があれば心配ないでしょうか。計算方法などがあれば教えてください。

〈相談者プロフィール〉
・女性、45歳、シングルマザー、子ども1人(21歳)
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:28万円
・毎月の支出目安:25万円
・総資産:300万円


花輪: ご相談ありがとうございます。

介護費用はどれくらいかかる?

介護にはどのくらいお金がかかるのでしょうか。

生命保険文化センターの「2015年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護経験者の平均的な介護期間は4年11ヵ月。経験者の4割超が4年以上の介護期間を要したそうです。

介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均80万円、月々の費用が平均7.9万円となっています。

つまり、月8万円が5年間かかり続けると計算すると480万円、初期費用を加えると560万円になります。

自己負担はいくらになる?

40歳になると介護保険料の支払いが始まり、いざ介護が必要になったときに所定の介護サービスを受けることができます。サービスを受けるには、市区町村の窓口で申請をする必要があります。

介護保険は介護状態に応じて利用できる上限額が決まっています。上限までの範囲であれば、自己負担は原則1割もしくは2割でしたが、2018年8月から“現役並み”の所得者(単身で年収340万円以上)は3割に引き上げられます。

たとえば「要介護5」の場合、1ヵ月の利用限度額は36万650円です。自己負担の目安は1割負担だと3万6,605円、2割負担だと7万2,130円、3割負担だと10万8,195円になります。上限を超えた部分や介護保険の適用範囲外のサービスを受けた場合は、全額自己負担になります。

これはあくまでも一般的な在宅介護のケースですが、参考にしてご自身に置きかえて計算をされると目安になるでしょう。ご自身の老後資金づくりのためにも、できるだけ伯母様の年金から負担できる方法で介護ができればよいですね。

子どもが大学を卒業したら老後資金を

ご自身の老後資金に関しては、子どもが大学を卒業すれば学費の負担が減ります。そのタイミングで老後資金をラストスパートで貯め始めましょう。

65歳まで働くとすると、あと20年も時間があることが大きな希望になります。

現在、年間300万円程度が生活費にかかっていますが、学費の負担がなくなって生活費を200万円に抑えられると仮定すると、年100万円以上を貯蓄に回すことが可能になります。20年間で2,000万円程度貯めることも可能でしょう。

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