はじめに

JR東日本が狙う「グローバル」

このように、ワールドクラスのメソッドがてんこ盛りのスポル。ここまで力を入れる背景には、東京五輪で終われないJR東日本の成長戦略がありました。

同社は2017年、今後10年を見据えた戦略として「生活サービス事業成長ビジョン(NEXT10)」を公表しています。そこでは、「『駅づくり』から『くらしづくり(まちづくり)』へ」と題し、エキナカなどの駅直結施設だけではなく、駅を中心とした周辺地域へも事業領域を広げていく計画が示されています。


線路の高架脇にはバスケットボールのコートが…

その主要プロジェクトの1つとされているのが、品川エリアの開発です。東京五輪に合わせて品川-田町間に新駅を開業し、「グローバル ゲートウェイ 品川」として世界中から先進的な企業の誘致を目指します。大井町はその品川の隣駅、まさにプロジェクトの一翼を担うエリアというわけです。

営業は2021年までの期間限定?

事実、このスポルと同じ敷地内には、劇団四季の新劇場「キャッツ・シアター」もオープンしています。スポーツ・芸術両面からの地域活性化が早くもスタートした格好です。

冒頭のオープニングイベント後、鈴木長官は「ここでスポーツ体験をした人が、生涯にわたってスポーツを楽しんでくれればいいし、できればトップアスリートになってくれれば施設としても夢のある話だと思う」と話し、施設活用に期待を寄せました。


スポルの可能性について期待を寄せる、スポーツ庁の鈴木長官(右から4人目)

スポルの入場料は無料ですが、各スポーツ施設の利用にはそれぞれ料金がかかります。人工サーフィンは50分で1人当たり6,200円から、テニスコートは1コート1時間当たり5,400円からとなっています(8月12日オープン時点)。

東京五輪のオフィシャルパートナーでもあるJR東日本。スポルを通じて大会機運を盛り上げるとともに、大井町の振興につなげることができるでしょうか。営業期間は今のところ、2021年までとされています。それ以降の大井町の景色は、スポルの利用状況次第で大きく変わるかもしれません。

(文:編集部 瀧六花子)

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