はじめに

なぜ?気温が同じ3月と11月の売れ行きに差

ここで、全国5000万人規模の購買情報を保有するTrue Dataのデータを使い、関東地方のドラッグストアにおける入浴剤の買物指数(来店客100万人あたりの売上金額)と気温(平均気温)の関係を調べてみました。いずれも週別のデータです。(今回は平均気温のデータを用いた解析ですが、最高気温あるいは最低気温を用いた解析でもおおむね同じような関係性は得られます。)

データ出典:True Data、期間:2016年8月~2018年7月、買物指数(金額):来店客100万人あたりの売上金額

週別に集約した期間の初日(すわなち月曜日)の月によってプロットの色を分けています。色と月の対応関係は図の右の凡例を見てください。これによると降温期(季節進行に伴い気温が降下していく8~1月)のプロットは、全般に昇温期(季節進行に伴い気温が上昇していく2~7月)のプロットに比べて上寄りに位置しています。

同じ温度帯でも秋冬のほうが春夏に比べて買物指数が高いことを意味しています。たとえば3月(黒)と11月(茶色)の気温は同じくらいです。平均気温10℃の値をみてみると、11月のほうが約20%高い売り上げを示しています。これは、同じ温度でも季節によって感じる陽気(体感温度)が異なるためです。

降温期(8月[赤]~1月[青])のプロットの流れを見た場合、高い温度帯では気温の降下に伴う買物指数の上昇はあまり見られません。ある程度の温度まで下がると、気温の降下に伴う買物指数の上昇がはっきり見られるようになります。

図から読み取ってみると、おおよその変曲点は25~26℃前後でしょうか。

9月上旬がひとつの目安

以上の解析結果から、「平均気温がおおよそ25~26℃を下回るようになると、シャワーで済ませずお風呂にお湯を張る入浴スタイルとする家庭が増える(その結果入浴剤が売れ始める)」という仮説を立てることができます。

東京において平均気温が25.5℃を下回る平年日を気象庁のHPで調べてみると、9月2日です。

つまり、例年であれば9月上旬から「シャワーで済ませずお風呂にお湯を張る入浴スタイルとする家庭が増える」と言い換えることができます。

入浴剤販売への応用

おおよそ9月上旬の平均気温25.5℃という目安を押さえておけば、入浴剤メーカーやそれを販売するドラッグストアをはじめとする小売店では、お客様のニーズにマッチした入浴剤の販売活動を行うことができるでしょう。

残暑が長引く予想の年は時期を後ろ倒しにする計画を、すんなりと秋に入る予想の年は時期を前倒しにする計画を事前に立て、それに合わせて売り場の品揃えを拡大したり、セールスプロモーションを行ったりすれば良いのです。

消費者にとっても、「そろそろ湯船にはいりたいな」と思ったときに、目移りするほどいろいろな入浴剤が販売されていたら、ワクワクする売り場、楽しいお店と映ることでしょう。ウェザーマーチャンダイジングを積極的に実践している企業では、このように様々な仮説検証を立てながら、消費者のニーズに合ったお店づくりを心がけているのです。

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