はじめに

成人で増えているのは…

では、成人の歯周病はどうでしょうか。

歯周病とは、歯と歯茎の間の溝に歯垢(プラーク)がたまり、プラークの細菌により歯肉が炎症を起こすことで歯肉が破壊され、溝を広げ(歯周ポケット)、悪化すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かして歯が抜け落ちてしまう病気で、歯を失う大きな要因となっています。

歯周病の診断には、目盛りのついたポケット探針で歯周ポケットの深さを測定し、4mm以上あると初期の歯周病とされます。自覚症状はほとんどありませんが、ブラッシングで出血したり、口臭が出たりします。

下図は、2005年からの3時点で、4mm以上の歯周ポケットがある人の割合です。年齢とともに増加しますが、40歳代でも3~4割が該当します。

図3 歯周ポケット(4mm以上)がある割合(対象歯がない人を除く)

(注)2011~2016年の間にはマニュアル改訂が行われており、直接比較できない可能性があるため点線で表記
(資料)厚生労働省「歯科疾患実態調査」各年

国では、2022年までに、4mm以上の歯周ポケットをもつ人の割合を、40歳代で25%、60歳代で45%にまで減らすことを目標としています(健康日本21(第二次))。

2016年の調査前に、歯周病検診マニュアルの改訂が実施され、2011年と2016年は直接比較できない可能性があるため、成人の歯周病が改善しているかどうかの判断は、次の調査に持ち越されていますが、現状のままでは、目標クリアには遠い水準となっています。

トラブルが起きる前に検診を

最近では、歯周病等の口腔疾患が心血管系疾患、糖尿病、肺炎、低体重児出産、骨粗しょう症などの疾患に影響を与えていることが知られるようになってきました。(※1)

歯周病は、痛み等の自覚症状がないまま悪化することが多く、40歳代でも3~4割程度が4mm以上の歯周ポケットがあります。プラーク内の細菌は、歯石を足がかりとして、さらに歯周ポケットを広げ、奥深くへ繁殖し、悪化していきます。

丁寧に歯や歯茎を磨くことはもちろん、歯科検診で歯の健康状態を知っておくことと、歯石を定期的に除去することが大切です。

現在、歯科検診の受診率は、20歳以上全体で53%と半分程度で 、2009年の34%と比べると上がっています。しかし、年齢が高いほど受診率は高く、20代では43%、30代では45%と半分以下となっています。現状では、歯にトラブルを感じて、はじめて受診しているのかもしれませんが、トラブルが起きる前に検診を受けるのが良さそうです。(※2)

※1 8020推進財団「歯周病と 生活習慣病の関係」(2005年3月)
※2 厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」より。過去1年間に歯科検診を受けた者の割合。

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