はじめに

10月1日から全国の証券取引所において、売買単位が100株に統一されました。

2007年11月に公表された「売買単位の集約に向けた行動計画」に基づき、上場内国株券の売買単位を100 株に統一するための取組みが進められ、ついにこの秋からスタートとなりました。

今回は、この売買単位の統一に対して、証券取引所や株式を上場している企業、そして金融機関はどのような期待をしているのか。そしてなにより、個人投資家にとってはどのような影響があるのかを考えていきたいと思います。


売買単位の歴史を振り返る

この10年ぐらいで株式投資を始めた人達はあまり気にしたことはないかもしれませんが、売買単位にも歴史があります。少し振り返ってみましょう。

もともと売買単位は100株と1,000株以外にも、1株や50株など8種類存在していました。しかし、2007年11月に「売買単位の集約に向けた行動計画」が公表され、まずは100株と1,000株の2種類に集約していくことになりました。そして、4つの段階を経て、最終的に100株に統一することになりました。

2008年4月から、新規上場する企業や、新たに売買単位を変更する企業は100株単位にするように規則改正を実施しました。その後は東日本大震災もあり、一部の予定が遅延したものの、2015年12月に移行期限を「2018年10月1日」に決定。そして先日、遂に10年以上の時を経て、売買単位が100株に統一されたのです。

証券取引所は何を期待しているのか

日本ではなく世界に目を向けたとき、売買単位が複数存在している証券取引所は少数派です。そもそも前述の8種類あった時代を考えてみましょう。「この銘柄の株価は〇〇円で、売買単位は・・・何株だっけ?」というように、銘柄ごとに売買単位を記憶していないと、最低購入金額がすぐに把握できないという不便さがありました。また、売買単位が複数種類あることで、誤発注のリスクも高くなっていました。

証券取引所としては、このような利便性の悪さを改善することによって、既存の投資家にもよりよい投資環境を与え、かつ新規の投資家を増やすための一助になればと考えているでしょう。つまり、投資家の数が増えることを期待していると考えます。

企業は何を期待しているか

既に上場している企業から見れば、流動性の向上や取引の活性化が期待されます。例えば、株価が5,000円で売買単位が1,000株だった場合、最低購入金額は5,000(円)×1,000(株)=500万円が必要となります。普通の個人投資家からすると、複数銘柄に投資をする際、このような企業の株式は投資対象から外さざるを得ませんでした。

しかし、今回の売買単位の統一によって、この企業の例であれば50万円から投資できるようになります。企業目線で見れば、個人投資家の数を増やすことが出来ると言えるでしょう。

当然ながら、個人投資家が増えることで株主管理コストが上昇するという指摘もありますが、様々なニュースを見ている限りでは、個人投資家というファンを増やせるということで、ポジティブに捉えている企業が多い印象です。

金融機関は何を期待しているか

金融機関は、今回の統一によって取引が活性化することを期待しているようです。先月初旬(9月1日時点)で全上場企業約3,600社のうち、既に約96%の企業が100株単位で取引されていたため、今月から大きく取引の活性化という影響は見られないと思います。

しかしながら、これから投資を始める人には前述の通り投資のハードルが下がることや、既に投資をしている投資家から見ても保有している株式の小ロットでの買い増しなどの動きが出始めるため、中長期的に見れば、個人投資家による取引の増加は期待できるでしょう。