はじめに

日経平均がバブルを超える?25,000円到達で現実味を帯びるシナリオは?

一つ目のシナリオは、歴史が繰り返し、30年ぶりのバブルに向けて日経平均が動き出すシナリオです。早い段階で20,000円の壁を突破し、2017年の夏から秋にかけて25,000千円の壁も突破すれば、このシナリオが現実味を帯びてきます。

このシナリオの鍵はアメリカの株価がトランプノミクスで上昇していくことです。実際、30年前のバブルでは、バブル崩壊までの株価上昇は日米同時で上昇局面にはいっていきました。1987年のブラックマンデーでへこんだりするのも日米同時です。

バブルについてはバブル崩壊だけが悪く言われるのですが、バブル景気で経済が上昇したのは日米ともに同じ。それが行き過ぎた日本の株価は崩壊しましたが、そこまでいかなかったアメリカの株価はその後も一貫して上昇していきました。1989年末には2,600ドルぐらいだったダウ平均は今では20,000ドル目前です。

ですからもしトランプノミクスで景気がよくなってアメリカの株価が上昇し、それにつれて投資家が安心感を持つようになって日本の株価が25,000円近辺で安定してくれれば。そしてそれが急騰せずに2020年ぐらいまでかけてじっくりと35,000円程度まで上昇していけば、日経平均は夢のバブル超えを達成するかもしれません。

2017年の悪夢のシナリオとは?

一方でまたこれまでと同じ循環相場に戻ってしまい、株価が10,000円の底値を目指して下落していくシナリオも起こりえます。

その鍵になるのはやはりトランプ相場。経済のプロといいながら、所詮は企業の経営のプロであって、国家経済の経営は無理だった場合、期待値が高かっただけに経済界全体に失望が広がるのも早いでしょう。

足元の好調な相場はトランプ政権への期待値で成り立っていますから、それがうまくいかなければ下落のペースも早いかもしれません。ダウが15,000ドルぐらいまで売られてしまえば、日経平均はそれ以上に売られるでしょう。

そもそもトランプノミクスがうまくいかないということは、経済のファンダメンタルズがグローバルに悪くなるわけですから、2017年はあまり良い年にはなりません。そうなってしまえば投資家には打ち手なしの状態です。

トランプ政権の誕生はポピュリズム、つまり大衆の期待の元に登場した新しい政治ということです。これは日本に民主党政権が誕生したのとよく似た状況でもあるわけです。

言葉としては心地よいことを繰り返しながら、実際に政権を担当したら混乱しか起こせなかったのが民主党政治の状況でした。しかもそれが解散がない限りは4年続くという絶望感が、当時の日本の経済をさらに重苦しく包んだものです。

アメリカ大統領には解散はありませんから、トランプがダメだということになっても国民は4年間は我慢をしなければなりません。そうなると2017年だけでなく、18年、19年、そしてオリンピックの2020年まで世界経済が停滞することすら考えられます。

「東京オリンピックに向けて経済が上向く」、その期待で上向いている日経平均相場に最大の冷や水となるのは、トランプノミクスが早い段階で崩壊してしまうこと。この点を注視することが来年の最重要項目でしょう。

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