はじめに
どのぐらいの人が発見されている?
どのぐらいの人が、がん検診によってがんが見つかっているのでしょうか。
がんの発見は、がん検診によるもの、自覚症状があって検査をしたもの、他の疾病で治療中に発見されたものがあります。がん検診は、自覚症状がない段階で発見できる可能性があることがメリットです。
(公財)日本対がん協会の集計では、一次検診で「異常あり」と判定される割合は、1万人が検診を受けたとして、大腸の場合、605人(6.1%)、乳房の場合468人(4.7%)程度となっています。そのうち、実際にがんが発見されるのは、それぞれ15人、24人となっています。
残念ながら、一次検診で「異常あり」と言われても、大腸で30%、乳房で10%が精密検査を受けていません。その他の部位について、実際にがんが発見される割合は以下のとおりです。
(資料)(公財)日本対がん協会「検診実施状況(2016年実績)」参照し作成
がん検診の精度と検診の効果
検査技術の進歩や検査方法の簡素化の一方で、どれだけ優れた検査でも100%正確ではありません。常につきまとうのが、「偽陽性」と「偽陰性」の問題です。前者は、本当はがんではないのに、陽性であると判断されるということで、治療が後手に回り、場合によっては、生命が脅かされる危険性があります。後者は、本当はがんなのに、陰性であると判断されることです。また、微小で、その後も進行がんにはならないものが、見つかることもあります(過剰診断)。この場合、本来であれば、不要な検査や治療を受けたり、精神的な負担を受ける可能性があります。
検査によっては、被爆や、検査による偶発的な事故のリスクがあることも忘れてはいけません。
リスクをおかして受ける検査なのですから、異常の可能性が指摘されたら、必ず精密検査を受けることが重要でしょう。また、検査結果について、医師や看護師からの十分な説明を受けられる方法が望ましいと思われます。