はじめに
子どもは知らず知らずのうちに、自分の家の経済状況について気づいてくるものです。それでも、親と子どもとの間では、少なくとも、家計に対する“ギャップ”が存在していると考えます。
たとえば、親は子どもには高校まで卒業してもらえればと考えていても、子どもは大学まで卒業したいと考えていることがあるということです。ここには、子どもが大学にかかる学費を漠然としか理解していないことも想定できるのですが、親が学費を用意できないなんて思いもしないという子どももいるはずです。
家庭でお金について話しができていないと、このようなギャップを引きずったまま進学を考える時期を迎えることになりかねません。では、子どもにはどこまで家計について話すべきでしょうか。
子どもに家計のことを話すメリット
家計について話すことに躊躇される家庭もありますが、メリットもあります。
一つには、家計の「収入」と「支出」を理解できることです。これらを知れば、「誰が稼ぎ」「何に使うのか」を知ることができるので、有限のなかでやりくりしていることを学ぶことができます。子どもは、お父さんのお小遣いも自分のお小遣いも、同じ家計から支出していることも知ります。
子どもは、自分も家族の一員なんだと改めて気づき、意識に良い変化が生まれます。銀行のATMに行けば無限にお金が出てくるなんて発想はなくなりますね。家計は、生きたお金教育の教材です。
もう一つは、子どもの進学にかかる費用について考えなければならない時期に、冷静に、そして、正直に話し合いができることです。親から進学のお金はないからと、いきなり言われても子どもは戸惑います。
自分の家の家計状況を知っておくことができれば、もしかしたら、子どもなりにどうお金を工面すればいいのか、考えるかもしれません。また、お金がかからない方法も探すかもしれません。家計に大きな負担がかかる大学進学等のお金については、親子間でギャップが生じやすいのです。
子どもに話す時期と事柄は?
では、子どもには、いつ話せば良いものでしょうか。
小学中学年以降になれば、家計の概念は理解できますし、家族が生きるためのお金と題し、月の生活費について話してもいいと思います。
気を付けたいのが、子どもの性格を見極めてほしいということ。口が軽く外でベラベラ話してしまう子には、とても話すことはできませんね。一方で、話しても問題がない子なら、きちんと話してあげましょう。話す時期は、親が大丈夫だと判断できる時期が適時になります。子育てをしている親だからこそ、その時の見極めができるのです。
しかし、適時でないため全く話さないというのはもったいないことです。どの子に対しても、「子どもにかかるお金」については話してほしいのです。
具体的には、「携帯料金やお小遣いなどの養育費」「習い事・塾代」「学費」などになります。小学高学年になっても、携帯料金や給食費を知らない子も多く、地域のプールの利用料金や公共のバスや鉄道料金も知らないこともあります。
親の収入や生活費を話す時期ではないとしても、子どもにかかっている費用については話しても問題はありません。