はじめに

最後の決め手は目と足の両方を使う

これがいいかなという銘柄候補がいくつか決まったら、最後は目と足を両方使います。まず、財務諸表と呼ばれる企業が発表している書類に目を通します。これらは起業のHPにいけば「投資家向け情報」や「IR情報」というボタンをクリックすれば見ることが可能です。最初は損益計算書、貸借対照表だけでもよいでしょう。筆者はエクセルに数字を移して、それを分析していきますが、まずは売上高や利益、コストなど大きな部分の動きをみるだけでもいいかもしれません。

慣れてきたら、もっと細かい数字も見ていきます。売上高もセグメント別に分けて見ていき、コストの内訳も見ていきます。更には人件費や従業員数、出店店舗数などの過去の数字を全て細かく分析していくと、その企業がどのような経営の進め方をしているのかが見えてきます。小売業や飲食業だと月次の売上高や店舗数なども公表している企業があります。これらも重要なデータになります。上場企業の場合は、四半期ごとに使用した決算説明会資料もHPにアップしていますので、それも併せて見ていきます。ここには更に細かな情報も載っているケースがあります。

ここまで細かく分析出来たら、これまでの数字を基に、どのような経営方針で今後会社を運営していくのかをシナリオを作ります。毎年20店舗ずつ増やしていた出店計画を来年からは少し抑えるなどです。または、海外へ事業展開する可能性がある、競合を買収する可能性があるなど、様々な仮説を作ってみます。

そして、自分なりの分析と仮説が頭の中に入ったら、株主総会や決算説明会に足を運びます。実際に行けない場合でも、最近はHP上で録画を見ることができたり、リアルタイム配信されていたりします。そこで、自分の分析や仮説が正しかったのか、経営陣や財務部長の話を聞いて検証していきます。

ここまですれば、ある程度の確信を持って、銘柄選択を終えることが出来るでしょう。

相場は上下するもの

リーマンショック以降、日本ではアベノミクスの影響で株式市場は緩やかではあるものの右肩上がりで推移してきました。当然のことながら、多少の上下はあるものの、特に2012年頃からは明確な上昇トレンドを維持しています。これはつまり、この5年ぐらいで株式投資を始めた投資家は、リーマンショックなどを知らないため、今回の急落を受けてショックを受けた方も多いでしょう。

しかし、相場の世界に“絶対”は存在しませんし、相場が一方向に動き続けることもほぼあり得ません。相場は上下するものであり、時として理論では説明できないレベルで株価が上昇したり、または考えられないレベルで下落したりすることもあります。

そして、誰も正確に相場の行方は予測できません。メディアではプロと呼ばれる人達が予測をしていますが、毎回正確に予測できている人は1人もいません。相場は常に上下し、誰も正確に予測できないからこそ、自分が納得できるロジックで銘柄を選択し、それを信じて中長期に保有することが重要なのです。

(文:Finatextグループ アジア事業担当 森永康平)

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