日本における在留外国人は前年末比2.9%増の263万人(2018年6月末、速報値)と過去最高を更新しました。留学生や留学後に日本で就職する外国人、技能実習生が増えていること等が背景と考えられます。

また現在、外国人労働者を活用しようとする機運が高まっています。外国人労働者の受け入れ拡大という政策の後押しもあり、将来的に大きなビジネスチャンスとなる可能性があると考えます。

一方、外国人労働者が増えることによる懸念も聞かれています。今回は日本の生産年齢人口の現状と、国内企業における外国人労働者関連ビジネスについて考えてみます。


生産年齢人口は2050年に5,275万人まで減少する見通し

日本の生産年齢人口は、1990年代半ばをピークに減少傾向が続いています。少子化による構造的な問題が要因であり、この傾向は長期的にも続くと予想されています。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の生産年齢人口は2050年に5,275万人(出生・死亡とも中位)まで減少する見通しで、これは2015年に比べて約3割の減少となります。

主要先進国との比較でも日本の生産年齢人口の減少は顕著です。2000年の生産年齢人口を100とした場合、2015年は米国が113.5、英国が108.8へ増加しているのに対し、日本は89.8と1割以上減少しています。

日本の外国人労働者は約128万人

冒頭で述べたように、2018年6月末の在留外国人は263万人と過去最高を更新しました。これに伴い、外国人労働者も増加傾向を続けています。とくに2015年以降は前年比2ケタ増が続いており、2017年(10月末時点)の外国人労働者は前年比18%増の約128万人とこちらも過去最高となりました。これは日本で就業している約50人に1人が外国人ということになります。

外国人労働者の国籍別割合(2017年10月末)を見ると、トップは中国(香港等を含む)の29.1%(37.2万人)、次いでベトナム18.8%(24.0万人)、フィリピン11.5%(14.6万人)となっています。また、就職先の産業別割合(2017年10月末)を見ると、トップは製造業の30.2%(38.5万人)、次いでサービス業14.8%(18.9万人)、卸売・小売業13.0%(16.6万人)が続いています。

外国人労働者は2025年に250万人程度に達すると予想

2018年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」において、政府は外国人労働者の受け入れ拡大を表明しました。人材不足が深刻な「建設」、「農業」、「介護」、「宿泊」、「造船」を対象とした新たな在留資格を創設し、この新資格で2025年までに50万人超の受け入れを目指すとしています。高度な知識を持った専門職に限定していた従来の方針を転換し、原則認めていなかった単純労働も受け入れることとなります。

こうした政策の追い風もあり、日本の外国人労働者は2025年には現在の約2倍の250万人程度に達すると、いちよし経済研究所では予想しています(下図)。外国人労働者の拡大を背景に、外国人労働者関連ビジネスが将来的に大きなビジネスチャンスとなる可能性があると考えています。

不法残留者の増加につながるリスクも

外国人在留者・労働者が増加する一方で、不法残留者(在留資格に応じて許可された在留期間を超えて国内に留まっている外国人)も増加しています。2018年(1月1日時点)の不法残留者は6.6万人(前年比1.9%増)と4年連続で増加しました。

国籍別では、韓国1.2万人(構成比19.4%)、中国0.9万人(同14.1%)、タイ0.6万人(同10.2%)、ベトナム0.6万人(同10.2%)となっています。政府による外国人労働者の受け入れ拡大は、不法残留者の増加につながるリスクもあると考えます。

外国人労働者関連ビジネスへ取り組む関連銘柄

人材サービス業界において、現状では外国人労働者関連ビジネスが大きく業績貢献しているケースはほとんどないと推測されます。外国人労働者をビジネスにつなげるには、現地での採用活動や就労ビザの取得・更新、日本語及び社会人マナー等の教育、居住等の生活関連サポートなど様々なハードルがあるためと考えられます。

そうした中、自社の特徴や強みを活かし、外国人労働者関連ビジネスに取り組む企業として、技術系領域で早くから外国人留学生の採用をしているトラスト・テック(2154、東1)、学校法人向け外国語指導講師の派遣を展開するリンクアンドモチベーション(2170、東1)、外国人のITエンジニア派遣を開始したヒューマンホールディングス(2415、JQS)、外国人技能実習生の管理業務を行うアウトソーシング(2427、東1)、外国人技術者の採用強化を推進するアルプス技研(4641、東1)に着目しています。

(文:いちよし経済研究所 企業調査部 三並正則)