はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
来年子どもが生まれます。現在の仕事は30代前半まで続けるイメージで、その後は収入がどれくらいになるのか見当もつかないので、それまでにある程度の教育資金や住宅ローンの繰上げ返済の資金を貯めたいと考えています。一方で、毎月余裕資金があるので、資産運用をもっと積極的にするべきか悩んでいます。現在は、月々の生活費以外から、小規模企業共済に月7万円、つみたてNISAに月3.3万円、ドル建て貯蓄型生命保険に515.60米ドル(10年払込)、変額年金保険に月3.3万円を支払っています。アドバイスよろしくお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・男性、24歳、既婚(妻:専業主婦)、妊娠中
・職業:自営業
・居住形態:持ち家(マンション)
・手取りの世帯月収:100万円
・毎月の支出目安:40万円
・貯金:500万円
・投資:30万円
・負債(住宅ローンなど):2,400万円
花輪: もうすぐお子さんが生まれるということで、おめでとうございます。
子どもが生まれると、収入が減り、支出が増える傾向にあるので、住宅ローンの繰上げ返済などを進めておくのも手ですね。
住宅ローンの繰上げ返済には、どれくらいの効果があるのでしょう。
2種類ある繰上げ返済の方法
繰り上げ返済には二種類の方法があり、「期間を短縮する方法」と「返済額を変更する方法」とがあります。
期間を短縮する方法は、月々の返済額は今と同じで、返済期間を短縮する目的で行います。返済額を変更する方法は、返済期間は今のままで、毎月の返済額を減らす狙いがあります。それぞれのメリット、デメリットは以下の通りです。
【期間を短縮する方法】
月々の返済額は今のままで、返済期間を短くする
メリット: 利息軽減効果が高い
デメリット: 月々の返済額は変わらない
【返済額を変更する方法】
返済期間は今のままで、月々の返済額を変更する
メリット: 月々の返済額をおさえることができる
デメリット: 利息軽減効果は期間短縮型よりも少ない
それぞれの利息軽減効果はどれくらい?
それぞれ、利息の軽減効果はどのくらい変わってくるでしょうか。
たとえば、10年前に3,000万円の住宅ローンを金利2%、期間35年という条件で組んでいるAさん(40歳)を例に、200万円の繰り上げ返済を行う場合で比べてみましょう。
【期間を短縮する方法】
・利息軽減額:121万円
・月々返済額:約9.9万円(今と同じ)
・完済年齢:62歳
【返済額を変更する方法】
・利息軽減額:54万円
・月々返済額:約9.1万円
・完済年齢:65歳(今と同じ)
期間を短縮する方法は約121万円、返済額を変更する方法は約54万円の利息軽減となります。
期間を短縮する方法を選ぶ場合は、月々の返済額は9.9万円のままですが、早く返済をしたいという人にとってはこちらの方法がよいでしょう。
一方、返済額を変更する方法は、月々の返済額が9.9万円から9.1万円に減るというメリットがあります。教育費の負担が大きくなって毎月の住宅ローン返済の負担が苦しいというご家庭の場合は、こちらの方法も大きな効果があります。
投資よりも繰り上げ返済を優先して
このFPの家計相談でも繰り返しお伝えしていますが、マーケットが不安定で不確実な投資にお金をかけるよりも、確実に利息を減らせる繰上げ返済をまず進めてもいいですね。