はじめに
ビジネスには「成功」と「大成功」しかない
――あらためて、新規事業を成功させるために重要なポイントとは、どんなものでしょうか。
とにかく自分から一歩を踏み出して、チャレンジすることです。
「失敗」を恐れて時間ばかりを浪費してしまう、加速的に進む新事業のアイデアにブレーキをかけてしまうのが、何よりよくない。当然、失敗は避けた方がいいですし、最初から失敗してもいいと思って立ち上げる事業はありません。
しかし、大切なのは、チャレンジして、うまくいかなければその結果を直視し、次のチャレンジに向けてしっかり軌道修正を行うこと。それが次なる成功への第一歩になります。私から言わせれば、ビジネスに「失敗」はなく、あるのは「成功」と「大成功」だけなのです。
――ベンチャーバンクには、「失敗」した人がきちんと学び、次にチャレンジにつなげていけるような環境があるということですね。
そうですね。社内にはなかなか結果が出ない人もいますし、私自身、新規事業を手がけても赤字から脱却できなかったり、そもそも立ち上げに至らなかったり、という経験があります。うまくいかないことには、絶対に理由がある。本人がそのことに気づき、きちんと向き合って、克服できるような環境は、常に整えておきたいと考えています。
社員には私に夢をぶつけて、新たな事業を創り、ベンチャーバンクをはるかにしのぐビッグカンパニーの社長になってほしいと、本気で思っています。
特に、優れた発想と実力を持ちながら「資本がない」というだけで夢が実現できないという人は少なくありませんから、「僕の会社に来なさい」と言いたいですね。
鷲見貴彦(すみ・たかひこ)
株式会社ベンチャーバンク 代表取締役会長、株式会社LAVA International 代表取締役社長。1959年生まれ。岐阜大学教育学部卒業後、名古屋の出版社に入社し、コンピューター部門に配属。1989年株式会社船井総合研究所に転職し、経営コンサルタントとして数々の実績を残す。1990年にベンチャーバンクの前身となる有限会社トータルアクセスカンパニーを設立。1994年に株式会社船井総合研究所を退社。その後さまざまな新規事業を立ち上げ、2005年4月株式会社ベンチャーバンクを設立。インキュベーション・カンパニーとして、「LAVA」「FEELCYCLE」「まんが喫茶ゲラゲラ」さまざまな事業を創出。近著に『i人経営』(日経BP)、『僕の会社にもっと来なさい。』(マガジンハウス)がある。