はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

老後が不安です。現在、会社の寮に住んでいます。従業員食堂で食事ができるので、手取りは少ないですが、支出もそう多くはありません。そのため、毎月以下の通り積み立てています。定年は60歳です。再雇用制度はあるものの、働けるかどうかはわかりません。退職金はあっても100万円くらいだと思います。このまま同じ会社で働くことができれば、貯蓄もある程度できますが、今後どうなるかわからないため、どのように老後資金を貯めていけばよいのか教えていただきたいです。


<毎月の積立>
・iDeCo:2.3万円、
・積立NISA:2.7万円
・定期預金:2万円
・終身保険:2.3万円(老後資金用、650万円くらいになる予定)


〈相談者プロフィール〉
・女性、47歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:会社の寮
・手取りの世帯月収:18万円
・毎月の支出目安:8~9万円
・貯金:1000万円
・負債(住宅ローンなど):なし


花輪: 老後資金の準備としてよくファイナンシャルプランナーは夫婦で3000万円、単身の場合は2000万円といった数字を提案することが多いです。

家計調査によると、60歳以上の単身無職世帯の1ヵ月の実収入は約12万円、これに対して支出は約15万円と、毎月3万円の赤字となっています。

65歳でリタイアして100歳まで年金と貯金で生活をする場合、35年間で生活費だけでも1260万円必要になります。これに医療費や介護費などの予備費を加えると、2000万円程度は貯金があった方が安全です。

老後資金2000万は“持ち家”前提の金額

相談者の場合、現在1000万円の貯金があり、終身保険でも650万円程度作れそうです。退職金も100万円程度あるということで、もう250万円程度貯めることができれば、2000万円はとりあえず達成できそうです。

懸念点としては、現在は会社の社宅に入っていますが、退職後はずっと住み続けられないだろうということが挙げられます。老後の生活費は基本的に持ち家前提の金額なので、もう少し準備ができた方が安心です。

また、面倒を見てくれる家族がいない場合は、有料老人ホームなども必要になってくるかもしれません。有料老人ホームは施設によってさまざまですが、入居金が1000万円以上かかり、毎月25万円前後支払う必要があるところもあります。

月7万の積立を続けて老後資金を確保

あと13年間、年間84万円積み立てていけば、運用益がゼロだと仮定しても1092万円になります。

このままのペースで積み立てていき、年利3%程度を狙えるとよいですね。3%で運用ができれば、資金は約1334万円に増えます。

つみたてNISAやiDeCoを最大限に活用させて、非課税の恩恵を受けながら、できる限り高いリターンで運用ができるとよいでしょう。

お金の寿命を延ばす秘訣は?

取り崩しをする際にも、運用をしながら取り崩す方がお金の寿命を延ばすことができます。

たとえば、2000万円を毎年100万円ずつ取り崩して行く場合、0%利回りでは20年で底を突きますが、3%利回りなら87歳頃までお金が持ち、5%利回りなら100歳を超えてもお金は底をつきません。

そのために、運用をすることが非常に大切になってくるのです。

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