11月11日。独り身をあらわす「1」が四つ並ぶため、中国ではこの日を「独身の日」と呼ぶようになりました。1990年代から大学生などの若者の間で広がり始めたものですが、それとともに「独身の日」の特需を当て込んだ商戦も活発化しています。今年も「2分で取引額100億元突破」というニュースを耳にした方もいるのではないでしょうか。


拡大が続く「独身の日」商戦

もともとは「恋人のいない男性が憂さを晴らしに買い物をする」といった単なるジョークとともにスタートした「独身の日」商戦ですが、現在では中国の一大消費イベントとしてすっかり定着しています。

その規模は年々拡大し、昨年の取引額は前年比40%増の約1,682億元(約2兆8,500億円)まで膨らみました。今年の「独身の日」商戦の取引額も2,135億元(約3兆5,000億円)と過去最高を更新、「独身の日」商戦は引き続き拡大基調を辿っています。

その理由として、アリババを含むネット通販業者が消費者の歓心を得るため、様々なイベントをしている事などを挙げています。また、世界最大の消費イベントに成長した事で、海外企業も「独身の日」商戦へ積極的に参入している事も、取引額増加に寄与しています。

11月の「爆買い」定着で小売統計の見方にも影響

ネット商戦が急拡大している事は、中国の主要経済指標の1つである小売統計の見方にも影響すると思われます。中国では月次で小売統計を出していますが、これからは10月と11月に関しては単月ではなく、四半期ベース(10~12月:第4四半期)で見る方が、より実態を捉えていると思います。

その理由として、ネット商戦を控え10月は以前よりも買い控えをする消費者が増加している事が挙げられます。特に、11月のネット商戦で日用品や生活必需品などを「爆買い」する事で、割引などの様々な特典が受けられる機会が多い事から、今後より一層増える可能性も考えられます(下図)。

G20での米中首脳会談が地合い改善のカギに

香港や米国市場に上場しているネット通販の関連銘柄の株価は、米中貿易摩擦を懸念して足元は軟調に推移しています。ただ、中国のネット通販の市場規模は拡大基調が続いており、伸び率も高水準を維持しています(下図)。

今後、米中貿易摩擦への懸念が薄らげば、アリババなど中国ネット通販関連銘柄の株価が戻る可能性もあると見ています。中国を代表する大型ハイテク銘柄の株価が戻れば、以前に比べてハイテク株の指数ウエートの割合が高まった香港ハンセン指数にも好影響を与え、それは中国本土市場の地合いの改善にも繋がると考えられます。

そうした意味でも、2018年11月末に開催予定のG20での米中首脳会談は注目に値すると思います。

(文:アイザワ証券 市場情報部 佐藤一樹  写真:ロイター/アフロ)