読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。


よくニュースでTPPが話題になりますが、TPPは私たちの日常生活にどのような影響があるのでしょうか。豚肉の値段が倍になってしまうのでしょうか。生活費にどんな影響が及んでくるのか、それはいつ頃になるのか、教えてください。食べ盛りの2人を抱えているので気になっています。


〈相談者プロフィール〉
・女性、40代前半、既婚、子供2人

深野: TPP(環太平洋経済連携協定)が私たちの生活に与える影響についてのご質問ですが、気にされている生活費が大幅に増える、つまり豚肉の値段が2倍になるようなことは考えにくいと思われます。

TPPは聖域をなくして、原則関税を撤廃することですから、むしろ生活費は安くなると予想されます。

TPPで生活費が安くなるのはなぜ?

たとえば、スーパーに行き、“鮭の切り身”を見てください。価格の安い切り身はチリ産のはずです。なぜ、チリ産の鮭の切り身が安いかと言うと、日本とチリは「FTA(自由貿易協定)」を結んでいるからです。

FTAは、特定の2ヵ国(または複数国間)で行われる関税の撤廃や、数量制限などの貿易障壁を取り除く協定です。このFTAにより、チリから低価格で鮭を輸入することにより、スーパーはチリ産の鮭の切り身を低価格で提供することができるわけです。

TPPを簡単にいえば、このFTAを複数の国々で結ぶものです。そのため、TPPが締結された暁には安い輸入品がわが国に入ってくるため、生活費は安くなっていくと予想されます。

生活に影響が出るのは、いつから?

ただし、TPPが締結されたからといって、翌年から生活費が大幅に安くなるわけではありません。

数年、あるいは数十年かけて関税の撤廃や数量規制を解除していくことになるでしょうから、私たちの生活費が安くなっていくのもかなりの時間を要すると思われます。

反面、国産品は競争力がないと安価な輸入品に取って変わられる可能性があります。ものによっては国産品は高嶺の花になり、なかなか食べられないものが出てくる、正確には増えてくる可能性があります。

今でさえ、ブランド牛など高嶺の花の食品が一部ありますが、それが増えるかもしれないというわけです。

TPPの影響は企業の業績にも及ぶ

また、TPPの影響を受ける企業に勤めている人は、TPPの影響により勤務先の業績が向上して収入が増える人がいるでしょう。その一方、TPPの影響により競争が激化して、勤務先の業績が低迷して収入が減少する人もいることでしょう。

TPPは必ずしも日本国民全員にプラスとなる政策ではないことから、合意に達するのも一筋縄ではいかないわけです。

(※この記事は2014年5月7日に『マネトク』で配信された記事を編集したものです)