年々、参加企業が増えているブラックフライデー。米国では感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日に開催されるセールで、1年で最も売り上げが見込める商戦とされています。

流通大手のイオンでは、2016年からこのブラックフライデーに参戦。セール期間中の売上高は、初年度が前年同期に比べて20%増、2年目が同15%増で推移。3年目となる今年は、さらに10%増を目標に掲げています(本州、四国のイオン、イオンスタイル)。

どんな目玉企画を用意して、3年連続の拡販に備えているのでしょうか。ブラックフライデーに秘められた、イオンの戦略を深掘りします。


4つの目玉企画を用意

11月23~25日の3日間開催される、イオンのブラックフライデー。店舗によってセールの対象商品数は異なりますが、たとえば東京のイオンスタイル品川シーサイドでは衣食住の分野で650品目、昨年に比べて約3割増の商品を取りそろえています。

イオンリテールの栢野博子・広報部長は「衣食住をトータルで展開しているGMS(総合スーパー)のイオンだからできる、過去最大のお買い物企画を用意しました」と、自信を見せます。

いくつも用意された企画の中で、目玉となるのは4つのセール。1つは、ブラックフライデーの“黒(クロ)”にちなんだ「96円、960円、9,600円企画」です。たとえば、ティファールのフライパンなど9点がセットになった商品が9,600円(税抜き)で販売されます。

2つ目が、この時期に欲しい商品を対象とした「半額企画」。羽毛掛布団、紳士ブルゾンダウンジャケット、婦人カシミア混ニット、キッズのアウターなどを、定価の半額で販売します。企画数は昨年の1.5倍に増やしているそうです。


紳士もののダウンブルゾンは定価の半額で販売

3つ目が、メンズビジネススーツの半額販売を皮切りに展開される「日替わり企画」。企画数は昨年よりも1割増となる100企画を用意しています。

そして4つ目が、食品を中心とした「詰め放題企画」。ジャガイモやタマネギを1袋300円(税抜き)で詰め込むことができます。


詰め放題企画には主婦が殺到

セール対象商品は3割から5割の値引きとなっているそう。栢野部長は「五感で買い物ができるリアル店舗ならではの体験を楽しんでいただきたい。ブラックフライデーといえばイオンと、ご満足いただけるよう、全力で取り組んでまいります」と意気込みます。

“狭間の月”に新規客を呼び込む

3年前にブラックフライデーのセールをスタートさせたイオン。その狙いは、どこにあったのでしょうか。

日本の小売業界では、10月のハロウィーン商戦が終わると、次の商戦期は12月のボーナス商戦、クリスマス商戦というのが、つい最近までの流れでした。つまり、11月は“狭間の月”に当たったわけです。

しかし、11月は気温の変化が激しく、消費者の中で「冬物を買おう」というニーズが高まる時期でもあります。そこで、「新しい消費を盛り上げるきっかけを作りたい」(栢野部長)として立ち上げたのが、ブラックフライデーでした。

過去2年は、いずれも売上高が2ケタ増と、思惑通りに推移しています。一方で懸念されるのは、11月にブラックフライデーを開催することで、12月商戦の需要を“先食い”しているのではないか、という点です。

これについて、栢野部長はこう説明します。「11月に新しいセールを開催することで、これまでイオンに来ていなかった新しいお客様が増えています。また、全館にお買い得商品をそろえることで回遊性が高まり、新しいお客様にイオンで取り扱っている商品を知っていただけるきっかけになっています」。

さらに12月商戦に向けて商品ラインナップを変更することで、こうした新規の客層に対して、ボーナス商戦から続く年末年始のセール時期に来店してもらうきっかけにもなるといいます。

プライベートブランド商品の刷新など、長年の見直しが奏功し、業績が回復基調をたどっているイオン。ブラックフライデーによる新規客の取り込みによって、その速度をさらに加速させることができるでしょうか。

(文:編集部 猪澤顕明)