はじめに

セルフメディケーション税制のポイント1:制度の対象となる市販薬を確認

ぜひ活用したいセルフメディケーション税制ですが、利用するにあたっていくつか押さえておきたいポイントがあります。

まず、制度の対象となる市販薬は、薬局やドラッグストアで購入できる医療用成分が配合された市販薬で「スイッチOTC」と呼ばれているものになります。

スイッチOTCとは、従来は医師の処方箋が必要だった医療用医薬品の中から、薬局で購入できるよう、一般用医薬品に転用されたものです。テレビコマーシャルでおなじみの胃腸薬「ガスター10」、鎮痛剤の「ロキソニンS」、抗アレルギー薬の「エスタック鼻炎24」、花粉治療薬「アレグラ」などが該当します。いずれも副作用が少なく、使用実績があるものです。

CHECK::対象商品については、厚生労働省のHPに記載されていますので参考にしてください。

ただし、気をつけたいのは、同じ商品シリーズにもかかわらず、対象になる商品と対象にならない商品があること。例えば、風邪薬で有名な「ルル」。「ルルアタックEX」「ルルアタックIB」などは対象になりますが、「ルルA錠」は対象になりません。

そこで、2017年1月より対象商品には「セルフメディケーション税制対象商品」のマークが記載されることに。これにより箱を見れば一目で制度の対象になるかならないかがわかります。

ただし、まだすべての商品が整備されているわけではないので、マークがついていない商品でも対象になるケースも。マークはついていないけど、対象になるか気になるという方は、先述の厚生労働省のHP内の「セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(全体版)」で確認してみましょう。

セルフメディケーション税制のポイント2:医療費控除と併用不可

医療費の減税制度といえば医療費控除が有名ですが、**医療費控除とセルフメディケーション税制との併用はできません。**スイッチOTC薬を従来の医療費控除で申告するか、セルフメディケーション税制で申告するか、どちらかを活用するかは自分で選ぶことになります。

例えば、1年間の医療費(スイッチOTC薬を除く)が15万円、スイッチOTC薬が1万2,000円の場合、

  • 通常の医療費控除:15万円+1万2,000円-10万円=6万2,000円
  • セルフメディケーション税制:1万2,000円-1万2,000円=0円

と、通常の医療費控除では所得控除ができますが、セルフメディケーション税制では所得控除はできません。1年分の医療費とスイッチOTC薬のそれぞれの支出を計算してどちらがお得なのかを計算してみましょう。

セルフメディケーション税制のポイント3:確定申告が必要

セルフメディケーション税制を利用する場合にも医療費控除と同様、「確定申告」が必要です。確定申告をする際には、対象商品を購入したときの「レシート」や「領収書」が必要になります。

レシートや領収書には、

1.商品名
2.金額
3.購入した商品がセルフメディケーション税制の対象商品である旨
4.販売店名
5.購入日

が記載されていることが必要です。

大手のドラッグストアなどではレシートにこうした明細が記載されていると思いますが、個人商店などでは商品名など、すべての項目が記載されていない可能性が高いのでよく確認しましょう。市販薬を多く買う世帯では、レシートを入れるボックスや封筒などを準備しておくとよいでしょう。

また、セルフメディケーション税制を受けるには、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診など、日頃より健康増進や病気予防に取り組んでいることが条件になります。ですから確定申告をする際には、これらの検診を受けた時の領収書や結果表が必要になります。こちらもあわせて保管しておきましょう。

健康をキープして家計も健全に

今まで多くの世帯の家計の状況を見てきましたが、それまで順調でもひとたび病気になると医療費に加えて、収入もダウンするため家計が一気に圧迫されます。医療費のために生活がままならなくなる家庭も少なくありません。

一方、家族全員が健康で健やかに暮らせている世帯では、医療費の支出も少なく、生産性が高い生活を送っているように思います。


今回はお得という観点からセルフメディケーション税制をご紹介しましたが、そもそも健康であることは生活を充実させるために欠かせないことです。ですから、日頃より健康増進、病気予防に努めること自体に意義があると思います。

長い間検診にいっていないという人は、これを機会に自分の体をチェックしてみてはいかがでしょうか?普段から健康に気をつけて生活をしていれば、たまに風邪を引いてもそれこそ、市販薬を飲んで十分な休養をとれば治りも早いでしょう。自分の健康増進を応援してくれるお得な制度としてセルフメディケーションを上手に活用できるといいですね。

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