はじめに
お年玉をもらった相手の人数は?
では、大人が渡す1人あたりの金額はどのくらいになるのでしょうか。残念なことに、この調査ではもらった相手の人数を知ることができません。
そこで、ここでは国立社会保障・人口問題研究所の『世帯動向調査』におけるミドル世代の平均的な兄弟姉妹数を参考にした上で、1.祖父母は父方・母方の双方、2.親は2人または3人きょうだい、3.祖父母・親・しんせきは同額ずつあげる、4.親族以外(その他)からはもらわない、と仮定した場合の人数を次の2つのケースで考えてみます。
1つは親の双方が2人きょうだいとした場合で、もらった相手は祖父母2組と親におじ・おばを加えた計5人です。もう1つは親の一方が2人きょうだい、他方を3人きょうだいとした場合の計6人です。
お年玉の総額を子どものいないミドル目線で考えてみる
その結果、大人が渡す1人あたりの平均金額は、小学生が約3,500~4,200円、中学生が約5,700~6,800円、高校生が約6,000~7,200円となりました。
これを小学校入学から高校卒業まで積み上げると、大人が拠出する1人あたりの金額は、合計で約5万6,100~6万7,300円となります。つまり、おじ・おばに子どもがいない場合、子どもは高校を卒業するまでに1人あたり6~7万円弱、子どもが2人であればその倍の金額をおじ・おばから受け取ることになります。
就学前からもらったり、大学生や社会人になって以降ももらい続ければ、金額はさらに増えます。
多様化するライフコースと「お年玉」の役割
子どものいるミドル世代は、子どものいない親族から子どもが大きくなるまでに先の金額をもらう可能性があります。お返しのルールやマナーはご家族によって違いもあるので一概にはいえませんが、ライフコースの多様化をふまえれば、お年玉にこだわらず、別の形で感謝の気持ちを伝える機会をつくれるとよいのかもしれません。
なお、この調査ではお年玉の取扱いについてもたずねていますが、小学生では親に渡していたものが、成長とともに子ども自身で管理するようになることもうかがえます。お金の使い方や管理の仕方とともに、毎年成長を喜んでくれたおじ・おばとのつながりを子どもが大切に考えていけるようになることも、現代のお年玉の重要な役割といえそうです。