はじめに
選べるカードは3つ
ご相談者様が悩まれていることは、「するか」「しないか」だと感じます。そこで、「実行したいが、できていない事柄」に対して選択できるカードを3つ用意しました。
<実行したいが、できていない事柄>
・夫の帰宅を減らす(節約効果は1回で4万円)
・妻の就業時間を1時間増やす(収入増加効果は月額で4万円)
【3つのカード】
(1) 夫の帰宅回数を減らす
(2) 妻の就業時間を増やす
(3) どちらもしない、または両方行う
(1)から(3)を実行した場合に、それぞれにどのような影響があるのか、それは本当に希望することなのか、一緒に考えてみましょう。
(1)「夫の帰宅回数を減らす」場合
この場合は、夫婦の身体への負担がなく、家計の節約ができます。しかし、それは金銭面の結果でしかありません。他に夫婦にしかわからない事情があると思います。たとえば、家族の時間を増やしたい、または、週末だけでも夫に何か手伝ってもらいたいなどです。そこで、相談者様は、夫の帰宅に何を期待しているのかを整理してみてください。帰宅が夫の要望なのであれば、回数を減らしてほしいというのは説得に時間がいるでしょう。
(2)「妻の就業時間を増やす」場合
この場合は、妻の身体への負担が増えます。第2子はまだ1歳なので、病児の際の看病を誰かにお願いできる環境であればいいのですが、当面は急病で仕事を休むことも考えられます。また、これから小学生になる第1子のフォローもなにかと大変になりそうです。時間がない時や弱ってしまいがちな時には、就業時間を増やしたことを後悔することもあるかもしれません。
また、時間を増やすことがもたらす収入の変化をもう少し考えてみましょう。1時間増やすと月の収入が4万円増えます。年間にして48万円、第2子が3歳になるまでにはあと1年半とすると、72万円の収入が増える計算になります。今すぐに時短勤務を止めて72万円の効果を得るのか、3歳まで待つのかが、キーポイントになるでしょう。
一方、「3歳以降でも取り返せる」と考えることもできます。会社での立場もおありでしょうから、相談者様の仕事の進み具合を考えて判断されてはどうでしょうか。
(3)「どちらもしない、または両方行う」場合
どちらもしないということは、現状を理解し、現状維持を努めることが大切になります。仕事を辞めてしまうことがなければ、現状維持は可能です。夫の単身赴任は会社員であれば避けることが難しいこともあります。長い人生の通過点だと考え、前向きに乗り切ってほしいです。
一方、夫の帰宅回数を減らし、かつ妻の就業時間を増やすという選択は、金銭面だけを考えれば、この選択は効果てきめんです。ただ、本当に今すぐにすべき決断でしょうか。帰宅回数を減らせるかどうかは、夫に相談し、夫婦で答えを出しましょう。また、妻の就業時間を増やして収入が増えるとしても、その増えた分が別の支出に消えてしまうことはないでしょうか。ガッチリ貯金できる!という意思のもと、検討すべきです。
いつまでにいくら貯めるのか、目的を明確にして
貯蓄の目的は、マイホーム購入なのか、教育資金なのか、そこも明確にしておく必要があります。
たとえば、マイホーム購入の頭金500万円を5年間で貯めるなら年間100万円を1年半後から貯める。また、教育資金なら、1年半後は第1子が8歳、第2子は3歳を迎える頃です。第1子の大学進学の資金を貯めるのに10年、第2子は15年ほどあります。第1子の教育資金は年間50万円を10年間貯めると500万円に。第2子は、年間30万円を15年間で450万円になります。しかも、5歳違いの子どもは大学在学中は重なりません。
どちらの目的であっても、就業を継続し、「いつまでに」「いくら」を貯めるという目的をつくれば、今を焦ることもないと思われます。子どもの成長と、夫婦の仕事への対応ができるような柔軟性こそが、今考えるべきことなのではないでしょうか。
※本文はFPの私見によるものです。様々な判断をする際の1つの考え方として参考にしてください。