はじめに

前回の記事では、なぜ資産運用が必要なのか、投資と投機の違い、資産運用におけるお金以外のリターンについて書きました。具体的な投資手法ついても解説したいのですが、その前に投資の世界に足を踏み入れる際に必須となる考え方を共有したいと思います。投資における大事な5つのルールと題し、投資家にとって重要な考え方を伝えていきます。

投資手法については既に投資対象や投資スタイルによって細分化された情報が世の中にはあふれていますが、意外と本質的な部分がわかる情報は少ないので、投資未経験者だけでなく、既に投資をしている投資家にも改めて知ってほしいと思っています。


投資は自己責任

筆者は個人投資家ですが、過去には証券会社や運用会社でアナリストやストラテジストとして機関投資家側にいた経験もあります。現在は、セミナーや勉強会などで講演したり、投資家の方達と話をさせていただく機会も多くあります。投資家は個人だけでなく、機関投資家や海外投資家も含まれます。

いろいろな立場や様々な投資家との対話を通して思うことが1つあります。投資家は何かしらの情報を基に投資をし、その結果、儲かったり、損をしたりします。「何かしらの情報」の代表格が、じつは「他人の意見」です。財務諸表とチャートだけを見て投資判断をする投資家はそれほど多くなく、プロと呼ばれる機関投資家であっても、アナリストのレポートや情報端末で流れてくる情報を見ていますし、個人投資家もtwitter等で情報収取をしたり、営業員からの情報を参考にしたりして投資をしている人が多いのです。

そして、情報に基づいて投資をした結果、儲かった場合は自分の判断は正しかったと喜んで終わりますが、損をした場合、参考にした情報の発信者を悪く言うケースが多いように感じます。その感覚は理解できるのですが、あくまで投資は自己責任が原則です。

基本的に誰かに投資を強制されることは考えづらく、最終的な判断は自分でするもの。厳しいようですが、投資の大原則として全て自己責任と肝に銘じて、情報に接することをお勧めします。その考え方さえ身に付いていれば、大量の情報をどのようにさばいて活用していくかなど、情報への接し方が研ぎ澄まされていくでしょう。

相場に絶対は存在しない

こちらも大切なことですが、相場に「絶対」は存在しません。ネットをみていると、まれに「絶対に儲かる投資法」や、「絶対に騰がる銘柄」などのうたい文句を目にすることがありますが、そんなものは存在しません。しかし、残念ながら日本では未だにこのような詐欺に引っかかる人が数多くいます。

詐欺には引っかからないという人もいますが、それに近い情報に投資判断を左右されているケースがあります。専門家の見通しを妄信的に受け入れてしまう場合もそのひとつ。

年末年始や、季節の変わり目などに専門家たちの株式市場の見通しを見ることも多いでしょう。日経平均はいくら、ドル円はいくらなどの予想です。時折、その数字を鵜呑みにしている人を見かけますが、大事なのは予想の根拠です。自分の予想よりも楽観的な予想をしている専門家がいれば、なぜそのような予想になったのかの根拠を見ることが重要です。その逆もまた然りです。

また、ある程度投資が上手くいくと、自分を過信しがちになりますが、そのような時も、相場に絶対は存在しないことを思い返してください。投資の世界では、コツコツ積み上げてきたものを短期間で失うこともあります。結局のところ、上がるか下がるか、50%の世界ですので、たまたまいいときが続くこともあるでしょう。しかし、それは今後もずっと続くわけではありません。常にリスク管理は徹底すべきです。

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