読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。

年が新たとなり、心機一転家計簿をつけようと考え、家計簿アプリを始めました。これまでもいろいろな方法でお金の管理を試してきましたが、三日坊主になったことが数多。 自動で家計簿をつけつつ、投資信託の月額積立を始めようと思っていますが、他に始めたほうがよい習慣や、新しい年だからこそ試したほうがよいことがあれば教えてください。


〈相談者プロフィール〉
・30代前半、独身、男性


野瀬: 新しく家計簿をつけ始めたのですね。私は実は従来より「家計簿をつける」ことには懐疑的です。理由は簡単で、メリットよりもデメリット、つまり、毎日手間がかかってしんどいという気持ちのほうが大きいからです。ですから、手間があまりかからない家計簿アプリを使う、もしくはざっくり1000円単位で家計簿をつけるのであれば、私は大いに賛成したいです。まずは第一歩、おめでとうございます。

「資産状況の把握」を習慣化させる

さて、そこで新年から始めたい「習慣」です。よく“習慣こそが人生を変えるカギだ!”という話が巷にあふれているのですが、そんなことは昔から分かっています。それでも世の中がハッピーな人であふれかえっていないのは、その習慣化がとても難しいからです。毎日12時間勉強すれば難関大学に入学できることは、みんななんとなく分かっていても毎日遊んでしまうのと同じです。

となると、どうするか。ますはできる範囲から習慣化してください。おすすめなのは、自分の資産状況を定期的に見ることです。これは1秒でできることなので、煩わしさはないでしょう。「何を今さら!」と思うかもしれませんが、世の中自分の預金通帳を定期的に眺める人はなかなかいません。記帳に行くのも面倒だし、見るにしてもせいぜいATMのレシートの残高ぐらいでしょう。そうなると、自分の総合的な資産状況などをタイムリーに理解することなど不可能なのです。

預金だけではなく、株なども含めたトータルの自分の資産状況を把握しましょう。まずはこの定期的なチェックを始めるとよいでしょう。こうやって自分の資産状況を定期的にチェックするようになれば、自分の資産が気になって仕方なくなるはずです。そうすると、次の習慣が生まれます。

“習慣が習慣を呼ぶ”サイクルを上手く活用

株価が上がらないのが気になったら、日経平均や円ドル相場に関心が生まれるでしょうし、経済ニュースにも関心が生まれるでしょう。そうなるとそれらを勉強する習慣が生まれ、ひょっとしたら決算書や四季報の読み方に興味が出るかもしれません。この“習慣が習慣を呼ぶ”というサイクルをうまく活用してください。

最近、私にしてはよく続いている習慣が「ジム」です。週に5回ぐらい、出勤前に近所のインド人たちとヨガにエアロビにと汗を流しています。脂ぎったインド料理が蓄積されたのか、体重増加が止まりませんでした。久しぶりに会う人会う人がみんな「太りましたよね?」と苦笑いしながら聞いてきました。

しかし、ここですぐに「ジムに行く!」とジムを申し込んでも、どうせ面倒くさくなり、行かなくなります。そこで、まず私が始めたのは「毎朝着替える時に鏡の前でパンツ一枚になって自分の体を眺める」という習慣です。これは1秒でできるので当然続きます。すると、自分のたるんだ体に対する危機感が蓄積されてゆき、次の習慣である「ジムに通う」が生まれます。習慣が習慣を呼ぶのです。

これは、毎日の資産状況のチェックと、そこから生まれる「投資の勉強をする習慣」「節約の習慣」などと同じです。いきなり難易度の高い習慣ではなく、質問者の方もまず自分の裸の資産状況を毎日眺めるという一番簡単な習慣から始めるとよいでしょう。

人より一歩先を行くために必要なこと

あと1点、多くの方に今年から始めてほしいのが、自分の給料から勝手に差し引かれているものの勉強です。つまり、税金と社会保障です。なにも税理士になるための高度な勉強をしなくてもよいので、自分の所得税がどのように計算されているのか、社会保険がどのように計算されているのかという仕組みの部分だけでも、一度学んでおいたほうがよいと思います。

これからの日本は、個人、特に若年世代への税金と社会保険が重くなることはあっても軽くなることは100%ありません。みなさんの生活に直結する税や社会保障は重たくなる方向での改正が毎年のように続くでしょう。そんな中で、人より先んじた賢い行動がとれるようになるためには、税と社会保障の基本構造・仕組みを知ることです。

本屋さんに行けば簡単な入門書が手に入りますので、2~3冊程度買って読んでみてはいかがでしょうか。最近は読みやすい本が多いので1冊2時間程度で読めると思います。

よく「決意を新たにするのは無駄」という意見がありますが、何もないよりは100倍マシです。新年に新しいことを始めたいと思った質問者の方の決意を心から祝福したいと思います。